金井啓子の現代進行形

誰のための万博か再認識を

2018年11月8日

開催国決定まであと半月

 2025年に開催される国際博覧会(万博)の開催国が今月23日、フランス・パリの博覧会国際事務局(BIE)総会で決定する。立候補しているのはロシア、アゼルバイジャン、そして日本の3カ国。もし日本に決まれば、約7年後に大阪で2度目の万博が夢洲で開かれることになる。

 もちろん楽観は禁物。今の段階ではいずれの国に決まってもおかしくない状況らしく、必ずしも日本が有利だという情報も伝わってこない。これまでに大阪府の松井一郎知事は精力的に諸外国を周り、BIE加盟国に「日本を、大阪をよろしく」とセールス行脚に汗を流していたが、結果として徒労に終わる可能性だってあるのだ。

 そしていま大切なことは、結果がどうなろうとも過剰に反応しないことだ。政府や関西の経済界、また大阪府や大阪市は、大阪万博がもたらす経済効果や経済発展、世界から日本の先端技術や大阪という都市の良さが注目されることを期待するが、なにも万博だけが発展の特効薬ではないだろう。万博のような巨大イベントを開かなくても国内には経済的な発展を遂げている都市は存在するし、大阪が持つ良さにしても海外旅行者の増加で十分に伝わっているはずだからだ。決定すればラッキー、選ばれなくても仕方がないくらいに構えていてちょうどいい。

 ただ、少し気になることがある。2025年大阪万博は、いったい誰のための万博なのかという基本的な問題だ。

 11月6日付の毎日新聞朝刊が、前回の住民投票ほど議論が盛り上がらない大阪都構想問題を取り上げ、維新にとっては「万博誘致が鍵」だと指摘。「大阪に決まれば、松井知事は功績と強調し、統一選や都構想の議論にも弾みがつくと他会派は警戒する」と報じた。

 確かに2025年万博の大阪誘致は、2015年10月に松井知事が表明したことがきっかけだった。その後、知事が率いる大阪維新の会も大阪万博を懸命にアピールした。もちろん、そこまでは何の問題もない。政治家として当然の仕事だと思う。

 だが、その積極的な行動の背後に都構想の実現や自党の勢力拡大が隠れているのだとしたら、「ちょっと待ってくれ」と文句のひとつも言いたくなる。「大阪万博は都構想や維新拡大のためのダシなのか」と首をかしげたくなる。

 万博の開催国は国家を挙げて、その国が持つ最新の技術と共に地球の未来像を示すことが求められる。それを、特定の政党のための“道具”に使うのだとしたら興ざめする。万博は決して都構想や維新のためのものではなく、あくまでも人類のためのものという理念を忘れてはいけない。

 (近畿大学総合社会学部教授)



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