居場所をつくろう 共生の現場から

第3部 障害者(上) 「地域と融合」

2017年5月28日

温かな支えが突破口

阿波座南公園の恒例イベント「グリーンフェスタ」で施設が出展したゲームコーナー。多くの来場者に好評だった(スマイル西ひかり提供)

 「心配事を聞いてもらえる」「生活のリズムが保てる」「社会とのつながりができた」−。

 大阪市西区にある地域活動支援センター「スマイル西ひかり」(十河恵子施設長)の通所者が活動の手応えを語った。同施設は精神に障害がある人々の社会参加(復帰)などを支え続け、来年で開設20年の節目を迎える。地道な努力と地元住民の理解によって、「内から外へ」「地域と融合」といった目標に大きく前進。施設名の通り「スマイル」(笑顔)に明るい「光」が差す中、通所者が地域の一員として充実した日々を送っている。

■地域に生きる□

 同施設は、障害者に創作的活動や生産活動の機会を提供するほか、地域社会との交流促進を支援。現在は約20人が通所している。

 施設長の十河さん(63)は長年勤めた医療業界を退職後、「生まれて初めてのボランティア」との志で福祉の世界に飛び込んだ。何も分からないところからの出発だったが、障害について真剣に学び、精神保健福祉士や社会福祉士、保育士といった資格を次々と取得。通所者を見守っている。

 開設当初は施設内での活動が中心で、十河さんは「以前は地域の中でひっそりとしていた」と振り返る。「これでは地域で生きているとはいえない。何とかしなければ」と悩んでいたところ、地元の明治連合振興町会からの誘いという転機が訪れた。

■希望の泉□

 明治会館と、会館が所在する阿波座南公園の清掃業務を、明治連合が2002年から同施設に委託し、現在に至っている。当時の明治連合会長だった袴俊介さん(故人)も障害について学び、住民に理解を求めて奔走。地域の温かな支えが突破口となった。

 さらに大阪市が初の市民参加モデルとして同公園に設けたビオトープの造成作業に加わったこともまたとない好機に。住民や児童らと汗を流し、完成後の維持管理を任されていることも一同の大きな喜びだ。“地域の希望が湧く泉”とたたえられたビオトープは地域との融合に大きく寄与した。現在も後任の笹倉和忠会長ら住民、関係者の心強い支援を受け、汗を流す充実感をかみしめている。

■住みよいまち□

 十河さんは「明治地域を通じて区全体の場にも出ていくことができた。西区地域福祉アクションプランにも大いに支えられている」と話す。施設が参加する行事の中には、西区や区社会福祉協議会(笹野井庸夫会長)主催のイベントも多く、区内の同様施設がネットワークを構築。異なる障害を相互に学び、理解する機会にもなっている。

 笹野井会長(79)は「昔と比べて地域の応援など障害者に対して明るい社会になってきたのは明らか。西区でも一体感のある取り組みがなされていることを大変うれしく思う」と評価する。一方で、想定外の事態が発生する災害の対応や施設の整備といった課題も列挙。「われわれも情報発信などに尽力し、みんなが安心して暮らせるまちを目指したい」と期待を込めた。

    ◇  ◇   

 障害者を取り巻く環境が大きく変動する中、地域社会での交流や住まいの現状、あくなき挑戦などを3回にわたり紹介する。