居場所をつくろう 共生の現場から

第4部 外国人(上) 外国にルーツの子どもたち

2017年7月19日

試行錯誤の学習支援

Minamiこども教室でボランティアと宿題や対話学習を行う外国にルーツを持つ子供たち

 絵本を見ながら、登場人物や情景について一対一で対話する子どもと大人。外国にルーツを持つ子どもたちと彼らを支援するボランティア「Minamiこども教室」の対話学習の様子だ。日本語がうまく使えず、学校の授業からの遅れが懸念される児童の学習支援の場であり、子どもたちの安心できる居場所でもある。

■厳しい状況

 教室を訪れた見学者に「こんばんは」と元気よくあいさつする女児に、「マリ、えらい、えらい」と喜ぶのは大阪市中央区の市立南小の山崎一人校長。南小は全児童約180人のうち4割以上が両親かどちらか一方の親が外国人で、関係する国も多いときには15カ国を超える。多文化共生の授業に取り組み、「多様な文化と出合い、豊かな感性を育む学校」として注目を集めるが、道のりは平たんではなく試行錯誤が続く。

 南小が授業を見直すきっかけは、2012年に起こった外国人母子家庭の無理心中事件だった。入学したばかりの児童が母親に刺殺され、母親も自殺未遂。赴任直後の事件に衝撃を受けた山崎校長は「二度とこんな事件は起こってはならない」と職員と現状を徹底的に見直す。浮かんできたのは、外国ルーツの児童らの厳しい学習状況と生活環境。日常会話で日本語が使えても、教科書に出てくる単語の理解が困難なことや、夜遅くまで働く親を持つ子どもらが寂しさから深夜に徘徊(はいかい)する状況などだ。

■地域と連携

 学校の取り組みだけでは限界があると感じた山崎校長は地域で連携できる先を探す。事件を受けて「何とかしないといけない」と感じていたコリアNGOセンター事務局長の金光敏さん、こどもひろば事務局長の鵜飼聖子さんら、複数の支援団体・個人と思いを共有。生活支援や教室運営などノウハウを持ち寄って2013年9月、Minamiこども教室を立ち上げた。現在、対象児童は小学校2年から高校1年まで広がり、約30人の子どもたちを約80人のボランティア登録者が支援している。需要は高まるばかりで、財政面や教室の場所など課題は多い。

 「スタートしたらやめられへん。エネルギーを全部注ぐ」と生活支援に駆け回る金さん、「絵本で対話することで、概念のイメージを持てるようになれば」と教室運営に腐心する鵜飼さん。懸命な大人たちに見守られ、フィリピンにルーツを持つ小学校5年生の丹原マリさんは「友達もいるし、ここに来るのが楽しい」と話す。

 山崎校長は「この子たちが国際交流の懸け橋になったとき、こんなしんどい状況を経験した子が力になる」と期待を寄せる。

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 外国にルーツを持つ子どもたち、留学生、労働者。第4部では外国人との共生を考える。

 Minamiこども教室 外国にルーツを持つ子どもたちを対象に、学習支援と居場所づくりに取り組む。中央区子ども・子育てプラザで毎週火曜日、午後6時から同8時まで、宿題と日本語学習を行う。コリアNGOセンターを事務局に複数の支援団体、個人による実行委員会が運営。登録したボランティアが一対一で学習を支援する。