居場所をつくろう 共生の現場から

第6部 学校(上) 地域との連携

2017年11月29日

共に環境を育む

明治小(後方)そばに広がる公園ビオトープで生き物を探す児童ら。自然を通じ地域と関わる=大阪市西区の阿波座南公園

 今年で戦災を経て復興60周年を迎えた大阪市西区の市立明治小(幸田基経校長)の南側には、阿波座南公園がある。園内には地域の自然生物が生息する空間「ビオトープ」(約500平方メートル)が広がる。2004年春の完成後、同校では地域団体や外部の専門家と連携しながら学習活動に活用。これまで多くの児童が“地域の宝”を見守りながら成長し、元気に巣立っている。

■一緒に関わる

 同公園のビオトープは、大阪市が03年から実施した「みんなのわくわく公園づくり事業」の第1号。地元町会や行政、学校などが参加し、計画から施工まで一緒に関わった。当初から積極参加だった同校では「生きた教材」を学習に生かそうと、完成の年に、高学年が選択するクラブ活動に「ビオトープクラブ」を新設。例年約15人が熱心に活動を続けている。

 「いいプログラムに育ってきている」と話すのは、初年度からボランティアでクラブ活動や一部授業をサポートしている環境学習コーディネーターの金下玲子さん。毎年、教職員と内容を協議し、年間約15回の活動を受け持つ。植物調査会社の専門家・中村俊之さんも迎え、児童は充実した内容に目を輝かせている。

 金下さんは、地域とのつながりも知ってもらいたいとの思いから、観察時にはビオトープそばの明治会館を訪れ、地域の人々と交流を深めるスタイルを構築した。

 クラブとは別に、低学年が地域ぐるみの公園清掃「ふれあい清掃」に参加した際、集めた葉で腐葉土作りにも取り組み、身近な自然の循環も解説している。

■生き生き学ぶ

 13年には人と自然が共存するまちづくりに寄与している点が評価され、同校は「全国学校・園庭ビオトープコンクール」(日本生態系協会主催)で上位5賞の一つ、国土交通大臣賞に輝いた。

 幸田校長にとっては着任した年の朗報で特に印象深い。「児童は校庭の一部のような感覚で公園ビオトープに親しんでいる。地域・学校・児童・保護者が一体となれる環境が素晴らしい」と振り返り、生き生きと学ぶ児童を見守る。環境関係の大学進学を目指す卒業生もいるなど、ここでの学びを大いに生かしている。

 6年前からは「四季の自然」として、4年の理科の授業にビオトープの観察活動を取り入れた。着実に進歩する中で、学年担任の谷元樹理教諭は「都会で季節感が分かる恵まれた環境」。クラブ担当の高野良太教諭は「理科の授業とも関連し、生物の命を実感する大変よい機会」と評価する。

■課題解決の場に

 こうした活動には、地域のバックアップが不可欠だ。地元の明治地域活動協議会、明治連合振興町会の笹倉和忠会長は「子どもたちを引きつける専門的リーダーがいてくれるからこそ継続できている。今後も子どもと地域が、共に環境を育むという循環が続いてほしい」と願う。

 金下さんは「学校と連携し、知恵を出して支え合える仲間を増やすことが大事。ビオトープだけではなく、地域課題を解決する学びの場としてつながっていけば」と話し、よりよい共生の方向性に期待を寄せた。

  ◇   ◇

 第6部では全国的に少子化傾向が進む中、地域社会と学校との連携が求められている。先駆的な取り組みや社会貢献事例などを、3回にわたり紹介する。