連載・特集

澪標 ―みおつくし―

誰かのために戦う強さ

釜中  明
NPO後悔しない家造り
ネットワーク「いい家塾」塾長
2012年4月20日

 それは衝撃の始まりでした。塾生の家族が建築相談に来ていた時、6階のオフィスが大きく揺れました。慌ててテレビを見たら、真っ黒な海水が防波堤をはるかに越えて全てのものをのみ込んでいく。信じられない惨状が現実に起きました。東日本大震災が発生した瞬間であり、日本中が苦しむ長い戦いの始まりでした。

 なでしこが世界一に

 ワールドカップ決勝戦の前夜、選手全員が震災のビデオを見て「必ず勝って東北に元気と勇気を届けよう」と誓ったそうです。一度も勝ったことがない米国に勝ち世界一になった。困難に立ち向かう被災地に勇気と感動を与えたと、国民栄誉賞が贈られました。まさに「誰かのために戦う強さ」です。

 ファミリーホームの開設

 避難所から毎日、流された家の跡地に行き、両親の行方を捜す幼子の姿に胸が痛み、何かしなければという衝動が沸き上がりました。東北3県で親をなくした孤児遺児は1567人にのぼります。5月、期せずして知人の山本朝子氏から誘いがあり、震災孤児を受け入れる施設開設に向けた活動がスタート。

 10月、小規模住居型児童養育施設ファミリーホームが宮城県東松島市に開所し、定員である6人の子どもたちを預かりました。この子たちが悲しみを乗り越えて、明るい未来が開けるように祈らずにいられません。先日、子どもたちの自立を支援するネットワーク「のいえ・プロジェクト」(代表理事山本朝子)がNPO法人として認証されました。「顔の見える支援先が見つかった」「微力だが無力ではない」と毎月募金をしてくださる方々。ある幼稚園は父母に呼び掛け「子どもたちに笑顔が戻るように」と募金活動をしてくださいました。子どもは国の宝です。成人するまでの長い戦いにご支援をお願いします。お問い合わせは電話06(6105)5696、事務局釜中悠至へ。

 仮設住宅の問題点

 6月、東松島市で仮設住宅を見ました。軽量鉄骨のプレハブで「夏は暑く冬が寒く結露と音が問題」のバラックでした。鉄骨の一面は外に、反対面は室内に露出しているので、鉄骨が熱橋となります。夏は外気を伝えて高温になり、冬は暖房で暖めた室内が結露します。滴り落ちる結露でカビが大発生し健康被害が心配でした。

 案の定、新聞報道によれば「仮設住宅の柱が結露し床に水がたまり、寝る時は布団の下に新聞紙を敷かなければならない。仮設だからとあきらめ顔で答えられた」過酷な現実と戦っている被災者に申し訳ないことです。製造した大手プレハブメーカーにはレッドカードです。

 救いは、木造仮設住宅が岩手で少量ながら建築されたことです。木は吸湿、調湿性に優れ断熱性が高いので結露しません。中には「地震前に住んでいた家より暖かかった」という人もいたそうです。

 私は今後の仮設住宅の改善に向けて、誰も問題点を指摘しないので警鐘を鳴らし、木造仮設住宅の推進と備蓄を主張してきました。

 電力危機との戦い

 福島原発の事故に端を発した電力供給危機。電力不足の恒常化と電気料金の高騰が必須となりました。これに対応すべく、エネルギーを自給自足する住宅の必要性を痛感して、新たな挑戦がスタートしました。

 大阪ガスの「エネファーム」を、当塾の本格木造住宅およびセルローズファイバーZ工法による高断熱、高品質の家に装備することで、「Wスマートの、いい家」が誕生。使うエネルギーを自家でつくり売電もできる高付加価値住宅が実現します。環境の変化と社会の要求に適応し使命を果たすため戦いは続きます。

 第15期生受講申し込み&質問お問い合わせは下記へ。

 電話06(6773)3423

http://e−iejuku.jp

 (かまなか・あきら 大阪市天王寺区)



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