澪標 ―みおつくし―

歯科医選びについて

岩住 征紀
歯科医
2017年2月24日

 年末、右上奥歯に違和感を生じました。硬いものをかむと、少し痛みます。また階段を急いで登るとその歯がひびきました。この歯の神経はまだとっておらず十数年前に治療してもらった歯です。「虫歯になったかな?」と思い、普段より同じ歯科医師会でもお世話になり、よく講習会にも一緒に参加する先生に診てもらいました。

 まず、かぶせを外して撮影したレントゲン写真を見ると、かぶせと自分の歯との間に虫歯ができていたのが原因でした。恥ずかしながら、「医者の不養生」です。「虫歯は神経の近くまで進んでいるから麻酔しますね」。普段私も患者さんに話すように説明を受けます。やっぱり(虫歯は進行していたな)と思いつつ「ハイ、お願いします」と答えます。

 麻酔の最中も(いま針が粘膜からわずかに入ったな)とか(少しずつ薬液が入ってきたな)とか、しばらくすると(麻酔が効いてきたから少し針先をずらして、薬液注入速度を速めているな)など、普段自分が患者さんに行うことを、思い浮かべながら治療を受けました。幸い虫歯は神経まで進んでおらず、神経を保護するセメントを付けて、金属のかぶせを入れてもらい治療が完了しました。

 私を診てくれた先生とは、もう10年以上のお付き合いになります。仕事以外の時でも、よく会って話をするので、歯科治療に対する考え方・思い、また患者さんへの接し方もよくわかっているため、安心して診てもらうことができます。

 さてこの仕事をしていると、「歯医者さんってどこに行けばいいかわからない」とか「子どもに矯正させようと思って、複数の先生に話を聞いてみたけど、どこに行けばいいでしょう?」などと聞かれることがあります。歯科医になってすぐの頃は「知識が豊富で、技術も優れており、人間性も兼ね備わった先生」と考えていました。しかししばらくすると、そんなことはなかなか同業者でもわからないことに気づきました。

 最近はインターネットの普及により、多くの情報が得られる便利な時代になりました。しかしその反面、「この治療法(薬)ならどんな虫歯でも治してくれる」と見た人を過度に期待させてしまう表現を目にすることもあります。また、医院の評判の書き込み欄では、一部ではありますが「その医院のスタッフが書き込んでいるのでは?」と思うこともあります。

 私はインターネットでの医院選びは、ある程度その辺を差し引いて参考程度にしたほうが良いと思っています。では、『どの先生に診てもらうか?』。私は一度受診して、「治療にまつわる内容・期間・費用などについて気軽に聞ける、そして納得できる説明をする先生」と考えています。やはり人間同士のことですので、デジタル化の進んだ今のご時世でも、「人としての相性、それと信頼関係」というフィーリングの部分がとても大切だと考えています。

  (大阪府吹田市)