澪標 ―みおつくし―

医療とインターネットの医学情報

後藤 浩之
ごとう内科クリニック
2017年3月3日

 クリニックの新規患者さんに、私のクリニックを知るきっかけをアンケートすると、圧倒的にインターネットを検索してということでした。自分の症状をきっかけに、自分の適した医療機関を検索するというのが常識となっています。

 その程度のインターネットの活用はいいと思うのですが、自分は何々病ではないかとインターネットを読んで自己診断をする患者さんや、こんな薬が欲しいと指定してくる患者さんがいます。中には私が説明しても受け入れてもらえず、インターネットの情報を信じている患者さんもいます。そのようなインターネットの活用は非常に危険なことではないかと危惧しています。

 インターネット上に氾濫する情報は医学的に正しいものもありますが、医学的に間違った情報も多くみられます。多く検索される情報が上位に出てくるため、受け取る側に好都合な情報であれば、間違った情報もそれが真実かのごとく出てきます。

 どの分野でも言えることですが、専門性の高い情報は専門的知識がないと正しく理解されませんし、専門的知識がないと情報の信ぴょう性も判断できないと思います。私でも専門の内科以外の医療に関しては、その分野の専門家の意見にほぼ従っています。自分で勝手に勉強して判断はしません。

 医学は数学と異なり、1+1=2のように絶対的に正しい理論は少なく、多くのデータや理論から比較的正しいと思われる医学的基準があるにすぎないのです。

 同じ病気の治療法にしても、年齢・性別・人種などによって異なりますし、個体差が多いため、同じ治療をしても効果ある人とそうでない人がいます。例えば、ある抗がん剤は東洋人には効果がある人は多いが、副作用も多く出やすいというような事もあります。また、一般的に薬の適応投与量は欧米人の方が多いことがしばしばあります。

 その個体差はどうして起こるのかを、多くの医学研究者が研究しているのですが、原因がわからないことが多いのが現実です。

 このように、医学とは日々積み重ねられる新しいデータの集積の結果、標準とされている医学的知識が変化していくものなのです。それを医学の進歩といってもいいのですが、これら複雑な医学的知識は、基礎医学から学んだ医師にしか本当の意味で理解はできないのではないかと考えています。

 一般の方がインターネットを読んで自己診断するということは、インターネットを読んでロケット作って宇宙へ飛ばそうとするようなものです。

 医師は医学的専門的知識や技量を駆使して医療行為を行うことを認められた専門家です。インターネットの情報より、専門家の医師の意見を聞いていただければと思っています。

 また、私たち医師も最新の医学知識を勉強し、最新の医療に対応できるようにしていかなければと思っています。

  (大阪市都島区)