大阪発 癒やしの温泉巡り

「越中山田温泉  玄猿楼」(上) 富山市

2016年11月12日

「風の盆」に誘われて

幻想的で優美、そして哀愁も合わさった「おわら風の盆」の町流し踊り

 富山県越中八尾の「おわら風の盆」。長い間一度は見てみたいと願いながら、宿の予約が難しいことなどから今年までその願いが一向にかなわない状態が続いていた。今年は私が法律顧問をしている旅行会社が、「風の盆」の催される越中八尾からほど近い越中山田温泉の老舗旅館「玄猿楼」での宿泊を運よく予約することができた。私の長年の夢であった「おわら風の盆」体験の旅が、今年はやっとかなうこととなった。

 8月31日、私と家内は富山駅近くのホテルで宿泊し、その晩は富山市内の料理店2軒で富山のグルメを楽しんだ。翌9月1日は富山駅前から越中山田温泉までバスに乗り、荷物をその日の宿の玄猿楼に預け、タクシーで越中八尾に向かった。

 越中八尾は、江戸時代につくられた当時のたたずまいを色濃く残し、石垣の美しい坂のたくさんある「おわら」や「曳山」などの伝統文化が息づく町だ。私は、その日の昼間に家内と2人でまだ人出の少ない八尾のレトロで落ち着いた雰囲気の町並みをいろいろな店をのぞいたり、寺院などを見物しながらのんびりと歩いた。

 「越中おわら節」は、江戸時代の元禄年間から始まったと言われ、既に300年以上の歴史がある。そして今は全国的に有名な「おわら風の盆」は、毎年9月1日〜3日に町中で行われる。町中にぼんぼりの淡い灯がともり、涼しげなそろいの法被や浴衣姿に深めに編みがさをつけた踊り手が、三味線や胡弓の音に合わせ、唄い踊り、町中を流し歩く。風の盆初日の9月1日は、春分から210日目に当たり、台風到来のシーズンと重なる風の災難厄日とされた。豊作を祈るとともに、風の災害が起こらないことを願う行事として「風の盆」という呼び名が付けたと伝えられる。

 「おわら風の盆」は、旧町と呼ばれる「東新町、西新町、諏訪町、上新町、鏡町、東町、西町、今町、下新町、天満町」と井田川をはさんで対岸にある「福島」を併せた合計11の町で行われる。私と家内は、9月1日、玄猿楼での夕食の後、バスに乗って八尾の町まで行き、まず八尾小学校演舞場で五つの町が参加した風の盆踊りを見物し、その後は見物人の混雑の中で町内踊りでの町流しを見ることができた。「おわら風の盆」は、幻想的で優美、それに哀愁も合わさって、私や家内を感動の世界へと導いた。午後11時過ぎに宿に帰ったその日の晩に宿泊した玄猿楼は、約1300年前の奈良時代に発見された北陸の中で最も老舗の温泉宿だ。私にとっても約25年ぶり2度目に宿泊する宿である。玄猿楼の詳細は、次週に紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】富山市山田湯1017
【電 話】076(457)2121
【部屋数】56室(定員150人)
【宿泊料金】1部屋2人で1泊2食1万円〜(サービス料込み・税別)
【定休日】不定休
【日帰り入浴】営業時間午前10時〜午後7時、入浴料金は大人650円、小人300円
【交 通】
・JR富山駅前からバスで山田行政センター行きに乗車(約50分)、終点下車徒歩すぐ
・北陸自動車道富山西ICから宿まで車で約20分