大阪発 癒やしの温泉巡り

新潟県清津峡温泉 「清津館」

2017年4月8日

特筆すべき頑張りの宿

雪の清津峡を見ながら入った「清泉の湯」と呼ばれる清津館貸し切り露天風呂

 私と家内、そして今村峰夫弁護士と長男諒平君の4人で今年1月8日に泊まった宿は、新潟県南東部の清津峡谷入り口の清津川の渓流沿いにある清津峡温泉「清津館」である。日本秘湯を守る会の現会員の宿だ。

 清津峡谷は、黒部峡谷(富山県)、大杉峡谷(三重県)とともに日本三大峡谷と称されるほど峡谷美を誇る名勝の地。清津峡温泉は、上杉謙信ゆかりの薬師如来のお告げによって掘り当てられたとの言い伝えのある古い温泉である。効能豊かな薬湯が旅人の疲れを癒やしてくれる。

 1897(明治30)年創業の清津館の自慢の温泉は、源泉掛け流しのほのかな硫黄の香りのする身体と気持ちに優しい単純硫黄泉。清津川沿いにある「清泉の湯」と呼ばれる貸し切り露天風呂からは、清流と迫力ある峡谷、そして冬には雪景色、春には新緑、夏には深緑、秋にはまばゆい紅葉を見ながら大自然と一体となって入浴を楽しめる。食事は、山菜や川魚など四季折々の地の食材を使った盛りだくさんの郷土料理を味わえるのも魅力だ。

 清津館は1984(昭和59)年2月9日に大規模な雪崩の発生により建物が全壊し、宿を営む桑原家の人たち7人が生き埋めとなり、5代目代表ら5人が亡くなる大きな悲劇に見舞われた。九死に一生を得て6代目代表となった桑原清さんの不屈の精神力となじみ客らの再オープンを望む熱い声援に押されて、86(昭和61)年に現在の宿の建物が完成。再オープンにまでこぎ着けた特筆すべき頑張りの宿だ。

 清さんは「現宿の初代となる4人目経営者祖父桑原清吉が苦労に苦労を重ねて清津峡を開発し、今の清津峡温泉の姿にまでした。ぜひ温泉をいつまでも守り続けたい。清津峡の大自然と一体となったこの宿で、温泉に入って都会での疲れを癒やしに来てほしい」と話す。関西からは遠いが、“ほんまもん”の秘湯の宿を応援する意味でも、ぜひ一度は訪ねてほしい。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所 在 地】新潟県十日町市清津峡
【電   話】025(763)2181
【宿 泊 料 金】1万2千円〜(税別・サービス料なし、2人1室)
【定 休 日】不定休
【日帰り入浴】営業時間午前10時〜午後3時
【入 浴 料 金】大人700円、小人350円
【交   通】
・JR飯山線森宮野原駅より越後湯沢駅行き路線バス清津峡入り口下車2キロ(バス停まで送迎あり)、またはJR飯山線越後田沢駅より約12キロ(駅までの送迎は要相談予約)
・関越自動車道塩沢・石打ICより国道353号線経由、車で約30分