大阪発 癒やしの温泉巡り

石川県・中宮温泉 にしやま旅館(下)

2017年5月27日

古い時代の良さ守る

いろりがあって山の湯宿らしい雰囲気を醸し出す談話室

 加賀の名山「白山」山中の秘湯・中宮温泉の中にある「にしやま旅館」。創業から150年の歴史を刻む宿だ。6代目代表の西山喜治さんによると、宿のコンセプトは「150年にわたって先祖代々が守ってきた古い時代の温泉の良さを、時代が変わっても守り続けていくこと。一日一日を大切にして心で生きる宿であり続けること」と語る。

 この宿には、主に六つの魅力がある。まず一つ目は、この宿一番自慢の温泉が良質の天然温泉であること。1300年以上の長きにわたりこんこんと湧き続ける自然湧出泉で、湧き出した源泉をそのまま浴槽に流し込み、加温・加水・循環させての温め直しは一切行わない源泉掛け流しの湯。泉質はナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉(低張性・中性・高温泉)、源泉温度60〜65度(浴用は適温に調整)、湧出量毎分40リットル。塩化物泉は、肌に塩分が付着して汗の蒸発を防ぐため、保温効果が高くて湯冷めせず「温まりの湯」と称される。

 また、ナトリウム−炭酸水素塩泉は、せっけんのように肌をきれいにし、「美肌の湯」とも呼ばれる。さらに飲用ができる湯は、炭酸水素塩泉の成分が胃腸の運動を活発にすることから、古来「胃腸の湯」とも呼ばれている。

 浴場は、ヒノキ造りで木のぬくもりとレトロな山の湯の雰囲気を味わいながら入浴できる男性内湯「御前の湯」、女性内湯「大汝の湯」、そして四季折々の大自然と一体となって入れる男性露天風呂「ぼーの湯」、女性露天風呂「めいろの湯」がある。さらに中宮温泉の2軒の宿(にしやま温泉・くろゆり荘)で利用できる泊まり客限定の湯巡り手形があるのも温泉好きにはうれしい。

 二つ目の魅力は、周りの環境が素晴らしいこと。標高は高すぎず、低すぎずの位置にあり、白山山麓の場所にあって水や空気がおいしい。三つ目の魅力は、食の宝庫といわれ白山の周りに育つ地の旬の食材を使ったおいしい山里料理を頂けること。清流に育つイワナ・紅マスなどの川魚、白山ゼンマイ・コゴミ・ウドなどの山菜、ナメコ・マイタケといったキノコなどの滋味あふれる山や川の恵み、そして温泉を使った温泉朝粥(がゆ)や温泉卵も味わえる。

 四つ目の魅力は、各客室から周りの山々や峡谷美をゆっくり眺めながら時間の流れを気にせずに過ごすことができること。五つ目の魅力は、自分の故郷に帰ったような家族的で素朴なもてなしを受けられること。そして六つ目の魅力は、白山白川郷ホワイトロードや蛇谷峡谷、そして白山登山(頂上まで徒歩14〜15時間)が楽しめることである。白山山麓のひなびた場所にあって、源泉掛け流しの良質の温泉を味わえる秘湯の宿「にしやま旅館」に関西からぜひ一度は訪れてほしい。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

●温泉のプロフィル●
【所在地】石川県白山市中宮温泉
【電 話】076(256)7219
【部屋数】17室(定員約50人)
【宿泊料金】1万950円〜(税・サービス料込み、1泊2食)
【日帰り入浴】営業時間午前10時〜午後3時
【入浴料金】大人550円、小人250円、幼児200円
【営業期間】4月下旬〜11月下旬
【定休日】不定休
【交 通】
 ▽バス
・小松駅(午後1時発限定)→(35分)出合駅→(送迎バスあり、要予約)宿
 ▽電車・バス
・金沢駅→(電車4分)西金沢駅→(徒歩6分)新西金沢駅→(電車28分)鶴来駅→(バス60分)瀬女駅→宿※瀬女〜宿まで送迎あり(要予約)
 ▽車
・北陸自動車道福井北ICから90分
・北陸自動車道小松ICから70分