大阪発 癒やしの温泉巡り

新潟県・村杉温泉 「風雅の宿 長生館」(上)

2017年9月2日

飲泉や吸い込んで高い効果

越後随一の長生館自慢の千坪を誇る庭園大露天風呂

 新潟県北東部に連なる五頭山。今から1200年以上前の809(大同4)年、この地が越後国と呼ばれ始めていた頃、弘法大師36歳の時に五頭山の五つの峰に五社大権現として仏像を安置し、五頭の本尊としたと言い伝わる。そして大師が麓の地を錫杖(しゃくじょう)で突いたところ、温泉が湧き出したのが五頭温泉郷の始まりとされる。

 五頭温泉郷は、県立自然公園の五頭山麓の西方に位置し、北から出湯、今板、村杉の三つの温泉地の総称。2016年に全国で93番目の国民保養温泉の指定を受けた。また12年、14年、15年の3回にわたり新潟県観光地満足度調査で総合満足度第1位を獲得した。

 同温泉郷は、五頭山を背にして美しい田園風景が広がり、日本の原風景が残る自然豊かな温泉郷だ。同温泉郷の一つの村杉温泉は1335(建武2)年、足利家の武将であった荒木正高が戦乱を逃れてこの地に着き、薬師如来のお告げによって湧き出る泉(温泉)を発見したと言い伝わる。温泉街にある石段の上には源泉「薬師乃湯」、そして正高が建てた「薬師堂」が今に残る。

 「村杉」と言う地名は薬師堂へと続く道に、仏様の恩に報いるために杉や松を植えたことから名付けられた。1914(大正3)年になって、村杉の湯にラジウムが多く含まれていることが発見された。以後、日本五大ラジウム温泉地の一つとして、「杖(つえ)いらずの湯」と称され、新潟の奥座敷的な湯冶場として発展してきた。今は、度重なる新潟地震や水害の発生、そして平成以降の不況の影響を受け、元の静かで落ち着いた温泉地に戻っている。

 村杉温泉には、古くある薬師乃湯1号井と2号井、01年に発見された薬師乃湯3号井の三つの源泉がある。自然湧出の1号井は同温泉内の飲泉と共同浴場「薬師乃湯」に、同じく自然湧出の2号井は「薬師の足湯」に利用されている。掘削自噴で湧出量毎分510リットルを誇る3号井は、7軒の宿の浴用として利用されている。

 この温泉の特徴は、入浴することで効果が得られるだけでなく、飲泉そして何よりもラドンを鼻や口から吸い込んでの効果が一番大きいといわれる。古くから「子宝の湯」「痛風の湯」「万病の湯」と言われてきたのもうなずける。

 この温泉地の中にあって、創業1868(明治元)年で古くから相馬御風、野口雨情、近衛文麿など多くの文化人、墨客らに愛されてきたのが、老舗旅館「長生館」である。今は客室27室(収容人員160人)、越後随一の千坪の庭園大露天風呂と4千坪の自然の大庭園が自慢の新潟県内を代表する温泉宿だ。「長生館」の種々の魅力は次週に紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】新潟県阿賀野市村杉温泉4632の8
【電 話】0250(66)2111
【宿泊料金】(1泊2食)平日1万6千円(サービス料込み・税別)〜、休前日2万円(同)〜
【日帰り入浴】営業時間午前11時〜午後2時、午後6時〜同8時
【入浴料金】大人千円、小人600円
【定休日】なし
【交 通】
・JR新潟駅→宿(無料送迎バス約45分・要予約)、JR水原駅→宿(無料送迎バス約20分・要予約)
・磐越自動車道安田IC→(車で約15分)宿