相羽秋夫のお笑い食べまくり

東京落語「山奥寿司」

南船場・グルメにぎり
「寿し※」
大阪市中央区南船場2の9の3
電話06(6241)5096
午前11時半〜午後2時(ランチ)と同5〜10時、日曜休、予約可
※は吉の士が土
2014年8月7日

孝行息子が握るグルメ寿司

これが3200円の「グルメにぎり」

 山深い場所に回転寿司(ずし)の店が出来た。江戸時代以前の安土・桃山風の寿司を提供するので“江戸前寿司”という。山くじらは猪(いのしし)肉、雲丹(うに)はプリンの醤油(しょうゆ)掛け、ふぐは毒きのこ、いくらは蛙(かえる)の卵と、他店と違う寿司ばかりだ。しかも皿が回転しないので食べられず、腹が減って“目が回る”ので回転寿司なのだ。新作派の注目株三遊亭白鳥(はくちょう)作の「山奥寿司」と題する東京落語である。

 今年4月にオープンしたばかりの大阪・南船場の「寿し※」はグルメにぎりを最大の売りにしている。この連載2回目のかれこれ2年前に登場した鶴橋「寿し※」の店主の長男は、大学を卒業すると「寿司の本場は東京の銀座や」と単身上京、1年間みっちり江戸の寿司のノウハウを学んで帰阪しビジネス街で開店した。

 だから、父親考案のグルメ寿司に新たな挑戦を加えた。モッツァレラチーズを炙(あぶ)って握ったり、香りの豊かな九州産の海苔(のり)で巻く干瓢(かんぴょう)巻などがその一例だ。

 写真のボリュームで3200円(全て税込み)と極めて安価な上に、本場の味なので、早くも高評価を得ている。もちろん1かん300〜600円のポピュラーな握(にぎ)り寿司が20種ほど出来るし、酒のアテも用意してある。

 寿司にはやはり日本酒が合う。「獺祭(だっさい)」「黒龍」など10種の銘柄(180ミリリットル800円)を揃(そろ)えている。さらに焼酎やビール、ウイスキー、ワインなども全て対応できる。

 飲んで食べてくつろいで、1人3千円〜5千円程度で納まるので、「店構えに躊躇(ちゅうちょ)せず、お気軽にお入り下さい」と若き店主は大学で学んだ経営学を駆使して張り切っている。接待係の店主の妹さんは、美人で独身である。念のため。“心を握る”の店のモットーも父親譲り。孝行息子の握る寿司が、不味(まず)いわけがない。

(演芸評論家)

 ※は吉の士が土