相羽秋夫のお笑い食べまくり

上方落語 「饅頭恐い」

谷町の最中屋「一吉」
大阪市中央区谷町8の2の6
06(6762)2553
午前11時〜午後6時半(ただし金曜は同6時、日祝は同5時まで)
月曜休(日祝不定休)
予約可・地方発送可
2017年6月3日

甘み抑えた手作りもなか

バラエティに富んだ手作り餡の数々

 若者が集まって雑談を始めた。「この世で何が一番恐(こわ)い」という話題になる。1人の男が「饅頭(まんじゅう)が恐い」といって震えて家に帰る。評判の悪い男なので、皆で苛(いじ)めてやろうと相談し、寝ている男の枕元にさまざまな種類の饅頭を投げ込むが、なんとうまそうに食べているではないか。「本当は何が恐い?」と聞くと「熱いお茶が恐い」。「饅頭恐い」という耳馴(な)れた噺(はなし)である。

 この男が好物にした最中(もなか)は、江戸時代から伝わる和菓子の一つだ。裏千家の初釜には、「花びら餅」の名で必ず供される。その魅力に取り付かれた山本由紀子さんは、脱OLで2008年に、大阪で唯一の最中持ち帰り専門店「一吉(ひとよし)」を開店した。

 お客さんにせめて一つは吉祥が訪れるようにとの願いと、父の出身地・熊本県人吉市を掛けた店名とした。

 プラスチックフィルムの袋に入った“皮”が“餡(あん)”と別々になっていて、食べる時に合わせるので、いつもパリパリの食感を味わうことができる。

 北海道産の小豆を粒状に残したものと、福井県産の白味噌(みそ)を使用した2種の手作りの餡を巧みに使い分けた商品が7種(200〜350円、全て税込み)ある。

 人気のベスト3は、粒餡、無花果(いちじく)、ラムレーズンだが、黄粉(きなこ)粒餡、チョコ抹(まつ)、有機牛蒡(ごぼう)、胡麻胡桃(ごまくるみ)、季節限定の苺(いちご)や桜ビーツ、アイス最中といったバラエティー豊富な種類が、お客の心を捉(とら)えている。

 これらを自由に組み合わせる箱入り(5・10・15個、別途箱代が60〜190円)は、贈答用にピッタリだ。太閤秀吉にちなんだ梅型の皮なので、大阪土産に買い求める人が多い。他に「有機バナナケーキ」(1280円)もできる。

 「糖分を他店(よそ)の半分ぐらいに抑えているので、男性が酒のアテにもされますよ」と“雨風”(甘辛両方好きの人の大阪弁)人間用を山本さんは強調する。

 まだまだこの店は高き極みに進化する“最中(さいちゅう)”である。

(演芸評論家)


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