相羽秋夫のお笑い食べまくり

上方落語「しゃっくり裁判」

2018年5月13日

国産ハラミを特製タレで

店が誇る焼き肉の数々(手前がハラミ)

 商家の娘が使いの途中、1人の男にしゃっくりのような「あっ!」という奇声を発せられ気絶してしまう。それが原因で記憶喪失症になる。親は怒り、男を訴える。奉行は、犯行の状況を再現するため、男の発した奇声を繰り返している内に、喉を痛めて裁判が中止になる。上方落語「しゃっくり裁判」である。

 しゃっくりは、横隔膜の痙攣(けいれん)によって起こる。焼き肉界では、横隔膜を“ハラミ”と称する希少な部位だ。だから新鮮で上質なハラミが用意できる店は少ない。

 初代から数えて50年以上の歴史がある「奈良・千久左(ちぐさ)」では、純国産のハラミを名物にしている。独自のルートを確立しているためだが、A4・A5クラスのロースやカルビなどの他に、ホルモンにも力を入れる。醤油(しょうゆ)と味噌(みそ)をベースにした漬けダレを使い分けて仕込む。その上に、焼き上がりのタレも、薬念醤(ヤンニャンジャン)という特製の調味料を混ぜて、格段のうまさに仕上げている。単品価格は750円(全て税込み)から2450円までだが、ハラミは並千円、上1700円、特上1900円である。

 この店のもう一つの自慢は「手打ち冷麺」(900円)。オーナーの夫哲教さんが、心を込めて打ち上げた麺と、鶏がらを6時間かけて煮出したスープの取り合わせが絶妙である。夫さんは「まず半分だけ食べて、残りは酢と薬念醤を入れる、2通りの味で楽しんで下さい」と推奨する。

 3100円から6100円までの四つのコース料理がお徳用で、特に4100円の「スタンダードコース」が人気。どのコースもプラス1500円で90分飲み放題で、サラダに使う特製ドレッシングは600円で持ち帰り可能だ。

 七輪(しちりん)使用の炭火焼きなのも、店主の心意気を表している。必ず毎月来店し、「元気をもらった」と喜ぶ家族連れがいる。「千久左」は、“千種(ちぐさ)”に通じるさまざまな幸せを運ぶ店だ。

(演芸評論家)
焼肉・冷麺「奈良・千久左」
 奈良市富雄元町4の1の23
 富雄美術ビル2階
 0742(41)2956
 午後5時〜同10時
 月曜休(祝日の場合は翌日)
 予約可


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