きらめきびと

企画連発、銭湯の良さ発信

老舗銭湯「朝日温泉」3代目
田丸 正高さん
2016年12月7日

 創業90年を数える老舗銭湯「朝日温泉」(住吉区南住吉3丁目)の若旦那。風呂場という名の舞台で、バンド演奏や落語をはじめ、お化け屋敷、五輪さながらの「オフロンピック」など泉のようにあふれるアイデアを形にし、業界の活性化に一役買う異端児だ。企画を連発し、「銭湯へ入るきっかけに」と期待を込める。

 小学校の卒業文集には「日本一のお風呂屋さんになる」と書いた。休みなく働く両親の背中を見て育ち、常連客に遊んでもらって大きくなった。親の反対を押し切り、建築の仕事を辞めて家業を継ぐ決意を固めたのは26歳のときだった。

 だが、業界を取り巻く環境は厳しい。燃料費の高騰や仲間の廃業。50年前と比べると、店舗数は府内でも5分の1に減った。

 業務は番台のみならず、1日に2トンの廃材を切り出してかまどにくべる重労働だ。午後2時前から翌午前1時までの営業時間を終えると、清掃作業は遅ければ早朝に及ぶ。それでも“日本一”を目指すのは地域に溶け込み、社交の場でもある銭湯の良さを誰よりも知っているからだ。

 区内で開いた10月の“銭湯の日”イベントには、想定を大きく上回る1600人が来場。風呂おけをストーンに見立てた「桶(おけ)カーリング」やのれんで製作した迷路などが好評で、今後も「大人と子どもが一緒に楽しめることをやりたい」。夢は尽きないが、時間を掛け過ぎると「仕事が手に付かなくなる」のが悩みの種だ。35歳。