来阪catch

「新しい様式美の世界」

坂東玉三郎×鼓童特別公演
演出/出演 坂東玉三郎
出演 石塚  充
2017年8月27日

パワーアップして

「17年の付き合いで共通言語が増えた」と話す坂東玉三郎(右)と鼓童の石塚充=大阪市内のホテル
坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」のポスター

 歌舞伎の人間国宝、坂東玉三郎(67)が太鼓芸能集団・鼓童と組んだ特別公演「幽玄」が9月21日から3日間、京都のロームシアター京都メインホールで行われる。「アマテラス」に続く玉三郎演出・出演作品。「新しい様式美の世界を表現したい」という玉三郎と鼓童の演奏家・石塚充(37)に話を聞いた。

 玉三郎が鼓童と出会ったのは、集団の本部がある新潟県佐渡で2000年のこと。その後寝食を共にして「鼓童ワン・アース・ツアースペシャル」を玉三郎が演出し成功を収める。2006年に大作「アマテラス」で初共演し大きな成果をあげて、13年から玉三郎が鼓童の芸術監督に就任しているのは周知の通りだ。

 「今回の『幽玄』は9回目のコラボ作品になるが、長いものでは『アマテラス』以来の作品。次は日本的なものというリクエストが鼓童からあって、能楽を題材にして、それを歌舞伎的に、新しい様式美の世界で表現したいと思った。能と歌舞伎の幽玄さの中に、太鼓のそれを融合させたい」と玉三郎は発想経緯を話す。

 作品の1幕目は能「羽衣」を題材にした世界で、玉三郎が羽衣をなびかせた優雅な舞いを見せて、鼓童の繊細で壮大な太鼓が華麗に融合していく。2幕目は「道成寺」で玉三郎が大きな釣り鐘のある舞台で白拍子と大蛇の執念を舞い、躍動感あふれる太鼓をそこに響かせる。3幕目は「石橋」で玉三郎、鼓童メンバーに花柳壽輔ら舞踊家が勇壮な舞台を繰り広げる。

 「僕は演出家としていつもメンバーに無理を承知で言っているところがあり、今回も難易度の高いシーンを設けている。16人のメンバーが一つの音色でバチを打ち替えていくのは、聞き応えがある。私は注文するだけで、それに応えてくれるメンバーに感謝するしかない」

 演出家の要望を実現するのが鼓童の演奏家で演出家でもある石塚で、「アマテラス」で音楽監督、スサノオ役を担った実績がある。「今回は大作として2作目で、身が引き締まる思いで取り組んでいる。玉三郎さんの注文の難易度は高いが、とてもやりがいがある。その期待に応えられるように少しでもパワーアップした舞台にしたい」と石塚は気合を込める。

 「石塚さんと長い間仕事をしていて、あうんの呼吸というのが生まれたような気がする。僕が『あの…』『この…』『それして』というだけで、『こういう感じでしょ』と返ってくる」と玉三郎。「やっぱり17年一緒にやって共通言語が増えたし、方向を解きほぐしてくださった。今回はさらにそぎ落として、いいものを出していきたい」と石塚。

 タイトルになっている「幽玄」については「それについての答えは限定できるものではないし、よく分からない。しかし、舞台が終わっての帰り道でお客さまが『持って帰るもの』になっていればうれしい」。玉三郎と石塚が目指すところは一緒のようである。

 ※9月から「来阪キャッチ」は毎週土曜日に掲載します