来阪catch

小さいが大きな世界

映画「モリのいる場所」
監督 沖田 修一
2018年5月12日

老夫婦絆 ユーモラスに

「山※さんと樹木さんの夫婦は理想的だった」と話す沖田修一監督=大阪市内
山※努(右)と樹木希林=(C)2017「モリのいる場所」製作委員会

 画家・熊谷守一(1880〜1977年)の晩年の一日をユーモラスに描いた映画「モリのいる場所」(日活配給)が19日から、シネ・リーブル梅田で公開される。主役を演じる山※努(81)と樹木希林(76)の老夫婦に「小さい世界だけど大きなものを託した」という沖田修一監督(39)に話を聞いた。

 沖田監督は「南極料理人」(2009年)で越冬隊員の不思議な食生活を題材にし、「キツツキと雨」(13年)ではきこりと映画監督の奇妙な友情を描いた。「少し変わった人と生活に焦点を当てる人」と言われているが当人も「ちょっと癖のある人が面白いし興味がある」と作家としてのモチーフを明かしている。

 新作「モリのいる場所」は、晩年、「仙人」といわれた画家・熊谷守一を主人公に選んだ。先の「キツツキの雨」に出演した山※に「このロケ地(岐阜県恵那市)に守一の記念館があるから見に行ったら」と勧められたのがきっかけになった。「その時は行けなかったが、後に東京・池袋にある守一美術館に行った。守一の世界を見て、山※さんの守一を映画で見たいと思った」

 守一は早くから才能を認められながらも、絵で家族を養えるようになったのは50歳を過ぎてからで、それで有名になろうとかほめられようという意識はなかった。「それで妻の秀子と結婚し東京豊島区に自宅を建てた。その家には広い庭があり、そこの草木や虫たちと生活し、晩年30年の間、ほとんど外に出なかった。どんな生活だったのだろうか」

 映画は守一が94歳の時の、ある夏の一日を追いかける形で始まる。「行って来ます」と言うと「行ってらっしゃい」と妻が送り出す。麦わら帽をかぶり、両手でつえをついてゆっくり庭を歩くのである。小さなアリを観察するため土に顔をすりつけるようにして座りこむ。「その山※さんの顔がチャーミングで、小さな世界だけど、守一さんにとって、それは大きなものに違いないと思わせる」

 守一の描いた絵「伸餅」を見た人が「これは何歳の子どもが描いたのか?」と聞くシーンがあるが、それに対して「底抜けに明るい絵が、平板に見えないのは、そこに長い人生を生き抜いた人の深い喜びと悲しみがあるから」(随筆家・白州正子)という声がある。国が文化勲章授与の相談で熊谷宅に電話を入れると、奥さんの秀子が「いらないそうです」と電話を切ってしまうのもおかしい。

 「山※さんと樹木さんの夫婦は撮影前に夢想したのが実現した。撮影現場では樹木さんがいろいろアイデアを出してくださって助けていただいた。2人が初共演というのも不思議な気がするが、夢がかなった気持ち」と出会いを振り返る。山※が「守一さんは仙人というより、ある時から『我が道を行く』と決心した人ではなかったか」と言えば、「そこに守一さんの人間としての深みがあり、それを山※さんが超然と演じている」と沖田監督は肯定する。

 ※は山ヘンに竒



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