相沢冬樹と大宮賢悟の酒と肴と男と女

 この連載、酒と肴(さかな)について、私が呑(の)み仲間と呑み屋で語り合う。相方の大宮賢悟氏は、日本酒の素晴らしさを広めようと活動する団体「愛LOVE日本酒」の代表。酒蔵のアドバイザーを務めるとともに、大阪を中心にさまざまな日本酒の催しを手掛ける。彼が語る日本酒の魅力とは? 「食との相性を考えながら飲めるところですね。最高の食中酒です。アテ(肴)とのペアリングこそが醍醐味(だいごみ)です」

日本酒とお万菜 じゃんけんポン

【日本酒とお万菜 じゃんけんポン】
大阪市北区池田町9−10
電話06(7163)2854
2019年1月8日

造りに合う生酒

日本酒もほとんど対象の飲み放題プランもある店
扉がガラス張りで入りやすい「じゃんけんポン」の外観

 新年最初の連載となる今回、われわれが訪れたのは天満市場の北。天神橋5丁目の交差点から東に約250メートル。呑(の)み屋の集中するこの一角で大宮氏が選んだ店は…

  ◇   ◇

 「相沢さん、ここです。『日本酒とお万菜 じゃんけんポン』酒飲みのための店です」

 「扉がガラス張りで中がよく見えるから入りやすいじゃない。でも『酒飲みの店』というからには理由があるんでしょうね」

 「もちろん。この店の売りはハッピーアワー(午後5時〜7時)に入店すると1時間飲み放題プランが利用できるんです。500円以下の飲み物がすべて対象で1380円ポッキリ。日本酒もほとんどが対象です」

 「もう、それいくしかないでしょう。大将、飲み放題2人前! それで1杯目は何?」

 「流輝(るか)(群馬)の純吟初搾りおりがらみ生をいってみましょう」

 早速、運ばれてきた酒を口に。

 「フルーティーだね」「そうですね。優しさが凝縮されたスイートな飲み口ですね」

 軽快な飲み口ゆえ、すぐに飲み干した。

 「大宮さん、2杯目は?」「同じ群馬の町田酒造純米吟醸55直汲(じかぐ)みで」「これもフルーティーだね。さっきの流輝との差が分かりにくいな」「確かに系統は似ていますが、こちらの方が味にコクがあってやや濃厚です」

 そこに注文していた造り盛りが運ばれてきた。造りといえば日本酒のアテの定番だが、この連載で造りを頼んだのは初めてだ。

 「日本酒に造りは鉄板の組み合わせという印象があるんだけど」「それが、今の日本酒はそうでもないんですよ。特に今の季節は新酒が多く出回りますけど、その多くが生酒なので、主張のはっきりした酒が多いんです」「前回、酒とアテの濃淡を合わせるという話が出たよね」「それです。新酒は味の濃淡で言うと明らかに造りが負けてしまう場合が多いんですよ」

 そこで、店の酒を知り尽くしている店長に造りに合う酒を選んでもらった。日高見(ひたかみ)(宮城)の純米初しぼりの本生だ。

 「確かに、生酒だけどこれは造りに合うね」「主張が激しくないですし、肴(さかな)に寄り添うような優しさがありますね」

 ここで、店の名物料理の一つ、巻いてないだし巻きを注文した。小ぶりの土鍋いっぱいに出汁(だし)を混ぜた卵焼きが広がっている。

 「これってだし巻きって言うの?」「それは置いといて、次は瑞冠(ずいかん)(広島)の純米酒斗瓶取り生をいきましょう。きっとこのだし巻きに合います」

 一口含んで思わず…。

「大宮さん、これ凄(すご)いんだけど」「私も、予想していた味と違います」

 瓶の裏面のラベルを確認すると…。

 「これ2012年の醸造ですね。つまり生の状態で6年ほど寝かせてあった酒のようです」「生で6年! それは凄い。道理でパンチがあるわけだ。でもこれはいい。もう1杯!」

 こうして飲みに飲んで1時間はあっという間に過ぎ、われわれは飲み放題を30分延長した。追加料金は1人800円。いろんな酒をお手頃価格で楽しめる。ここオススメです!

(相沢冬樹)


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