旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

“おいでませ山口へ”に誘われて

2017年8月21日
離島に架かる橋で日本屈指の長さを誇る角島大橋

 弾丸旅行を実践してみた。土曜日午後11時に神戸を出発、山口県下関市、角島大橋を目指して!

 夜中に車で長距離を走るのは学生時代以来かと思う。妙にテンションも上がりウキウキした気分の出発である。途中サービスエリアに度々寄ってみるのも案外楽しいもの。岡山、福山、広島と真夜中のドライブは久しぶりの旅の快感を覚える。

 中国道下関インターを出た時もまだ朝は遠い時刻。70分ほどの行程を眠気もなく快適なドライブが続く。角島大橋到着は午前4時半。多少空も白み始めたころである。初めて見る大橋はまだ夜間照明がともされ、幽玄な姿を映し出し、なかなかの雰囲気を醸し出していた。

 平成12年度に開通した角島大橋は、離島に架かる橋のうち、無料で渡れる一般道路としては日本屈指の長さ(1780メートル)を誇る。当地特有のコバルトブルーの海士ケ瀬(あまがせ)をまたぎ、景観と調和した雄姿は、北長門海岸地域随一の景勝地となる実力は十分。そして朝日が差し込む時間になれば本当に美しい海と白い橋との色彩がすばらしい。2時間ほど休憩も含めて滞在し、萩へ向かう。

 松陰神社、松下村塾を見学。8畳、10畳半の2室の家で下級武士、庶民の子弟を教育し、高杉晋作、伊藤博文など維新の人材がここから輩出したことを思えば感慨深い。感傷に浸る間もなく、弾丸旅行を続ける。

 県境に近い山陰の小京都、島根県津和野に向かう。鎌倉時代から700年続く城下町。白い土塀と清水が流れる掘割に泳ぐ色とりどりのコイ。すべてが絵になる風景に癒やされ、後ろ髪を引かれる思いで帰途に就く。宿泊なしの弾丸旅行。完遂!

 (ホテル・旅館プロデューサー)