旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

山陰の松島「浦富海岸」

2017年9月4日
「ロックビューティー」の意味を理解できる岩の芸術

 酷暑の続く日々から逃れたい、透明感のある海を見たいという衝動に駆られ、日本海に清涼感を求め旅心が騒ぐ。中国自動車道佐用ジャンクションから、鳥取自動車道「鳥取インター」から40分。鳥取県岩美町にある約15キロメートルにわたるリアス海岸、浦富海岸を訪れた。

 「日本百景」「にっぽん観光地百選」などに選ばれている日本海沿岸の自然景勝地である。日本海の荒波によって形作られた壮大な海食地形は圧巻。特徴的な景観として、菜種五島、千貫松島、鴨が磯、竜神洞などさまざまな変化に富んだ景観は見る人を魅了してやまない。まさに「山陰の松島」と呼ばれることに納得する。

 水深25メートルといわれる透明度のコバルトブルーは吸い込まれるように美しい。特に推奨したいのが「島巡り遊覧クルーズ」。「ロックビューティー」といわれる意味を心から理解できる絶景である。自然がつくり出した岩の芸術そのものを目の当たりにした感動は、ずっと記憶に残る気がする。

 そしてご当地グルメ、夏のグルメの岩ガキ、白イカは最高だ。特に白イカは地元ならではのショウガじょうゆで食べるのがお勧めで、絶品である。深いシワに刻まれた漁師さんの素朴な美しい顔を眺めながら頂く旬の魚は格別。春になるとモサエビ、秋には赤ガレイ、冬はご存じ松葉ガニと、1年を通じてグルメを堪能できるのはさすが日本海といわれるゆえんである。

 魚釣りでにぎわう堤防に座り、キラキラ輝く「光る海」を走る漁船のシルエットがたまらなく旅愁を感じさせる。小さな現実逃避の旅ではあったが。

 (ホテル・旅館プロデューサー)