旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

お客さま目線で…

2018年8月20日

 以前にはあまりなかったことだが、ここ数年ちょくちょくと体験する機会が増えてきたように思う。つい最近も友人から聞いた。同窓会で旅館に泊まることがあり、1杯飲んで大浴場へ行ってシャワーを浴びようと思ってお湯を出したらいきなり熱湯が出てきて、あわてて身をかわしたからやけどはしなかったが、かなりきわどかったという。

 浴場のカランの温度調節は、施設によってやり方は違う。うまく操作すれば問題ないのだが、中には故障したものに時々遭遇する。一般家庭であっても故障はするがすぐに修理するものである。ホテル、旅館の浴場で放置しているのだとすれば、多分「気がつていない」のだろう。それなら直しようがない。これはかなり重要な問題だと思う。要するに関係者が誰もその機器を使ってない、または点検もしていないということだ。

 改善のスタートは「気が付く」ことである。思い返してみると、深夜に浴場の照明がつかない、部屋の窓がうまく開かない、洗面台の湯が出ない、冷蔵庫に期限切れのビールが入っていた、栓抜きが置いてない等々、これまでいろんな細かな問題に遭遇してきたが、命に関わる問題でもないからと宿の人には苦情を言わずに終わった。

 その時は不満があふれているが、その場で直るものではないから、まあいいやと終わらせてきた。次に同じ目に合うお客さまも同じように思ったのではないか。こうして問題が放置される。

 時々でもいいから、自分たちの旅館ホテルを、利用するお客さまになったつもりで使ってみてほしい。そうすればこういう小さな問題が分かるはずだ。われわれの業界ではインスペクション(視察、検査、点検、下見)という。

 (ホテル・旅館プロデューサー)