旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

世界遺産、厳島神社

2018年9月3日
海中に60トンの自らの重みで立っているという大鳥居

 仕事で山口に向かう途中、ポピュラーだが安芸の宮島に道草を思い立ち立ち寄ってみた。2度目の訪問であるが、また違った意味で楽しめた気がする。

 日本三景の一つで、世界遺産に指定された「厳島神社」。島全体が聖地とされ、伐採も禁じられたため、豊かな原生林が残されている。神々の島としてあがめられ歴史も古い。史実に残る多くの人が崇敬してきた。特に平家一門の宮島崇拝は有名。

 まるで海を敷地とした大胆で独創的な配置構成は目を見張る。寝殿造りの粋を極めた建築美は圧巻である。回廊で結ばれた朱塗りの社殿は満潮時にはあたかも海に浮かんでいるようにも見える。

 そしてまた、海からの神社への入り口であろう大鳥居に驚嘆する。高さ16・6メートル、主柱周り9・9メートル、重量60トン。現在の大鳥居は8代目だそうで1875年に再建されたという。根本は海中に置かれているだけで、自らの重みだけで立っているという。本土から船で宮島桟橋に着き、本殿まで歩く参道がまた楽しい。あらゆる場所でシカと戯れながら歩くと、心の中から旅心地になる。

 本殿の手前にある千畳閣(豊国神社)も美しい。豊臣秀吉が戦没者の供養をするために天正15年に発願し、安国寺恵瓊(えけい)に建立を命じたが、秀吉の死により未完成のまま現在に至っているという。明治時代に豊臣秀吉と加藤清正を祭ったことから「豊国神社」と呼ばれている。

 話は変わるが、和食の世界でしゃもじのことを宮島と呼ぶのはご存じだろうか? 若いボンちゃんに「おーい、宮島もってこい」という声をよく聞く。宮島の修行僧が考案した飯杓子(しゃくし)が宮島杓子として全国に広まったという。弁財天が持つ琵琶に似せて作ったとされている。

 話がそれてしまったが、さすがに厳島神社は奥が深く、一度の訪問では探索も難しい。再度訪れると心に決め、帰りの船に乗り込む。

 (ホテル・旅館プロデューサー)