旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

清流と名水の城下町〜郡上八幡〜

2018年11月5日
壮絶な歴史物語に心はせる郡上八幡城

 いつも車窓からしか見ることがなかった、山城、郡上八幡城。名古屋出張の折、一足延ばして訪れてみた。名古屋から東海北陸道を北上、郡上八幡インターからすぐの足回りの良い場所である。

 ちょうどお昼の時間帯の到着で、まずは腹ごしらえ。地元で人気の「蕎麦処(そばどころ) 俄(にわか)」へ。郡上の古地鶏とアイガモの石焼きとセットで辛味大根のぶっかけそばを堪能。地鶏とアイガモは溶岩プレートで焼き、そばつゆで食すのだが、この相性は最高である。郡上産のそばの味を引き立てるようにおいしく平らげた。

 食後の散策には、この郡上八幡の町はちょうどいい。吉田川の清流を眺め、大手町、柳町、職人町、鍛冶屋町を中心とした町屋群。統一された町屋と水利施設が一体となって歴史的風致を伝えている。国の重要伝統的建造物保存地区にも選定されている。

 清流吉田川の川沿いのカフェでコーヒーを味わいながら町屋、清流、郡上八幡城とすべてが目に映し出される光景は、なかなか味わうことはできない。割と早い時間で街中を散策できたこともあり、山城、郡上八幡城に向かう。うれしいことに山上まで車で登れるとは思ってもみなかったので助かる。

 こぢんまりとしたたたずまいの山城であるが、歴史をひもとくと壮絶な物語が存在したことに驚く。秀吉、家康を巻き込んだ城取りの駆け引き、明治維新の会津白虎隊との物語、郡上一揆と呼ばれる日本で一番有名な一揆の話など興味は尽きない。

 このお城を舞台に繰り広げられた下克上から始まった五家による城主の城取り物語。いにしえに心をはせながら眼下に広がる城下町は、ちょうどアユに似た魚の形をした光景であるのが面白い。

 ちょうどいいくらいのドライブの距離感。どうぞ皆さんも訪れて、のどかな街並みと清流、そして少しの歴史の物語を味わってもらいたい。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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