JA鳥取いなば(清水雄作組合長)は13日、100%子会社トスクが運営し、9月末で閉店が決まっている鳥取県東部のスーパー7店舗のうち、若桜店(若桜町若桜)とちづ店(智頭町智頭)の運営をエスマート(本部・鳥取市湖山町北3丁目、寺谷淳社長)に引き継ぎ、吉成店(同市吉成)を同社に売却すると発表した。同JAが同日、臨時理事会を開いて方針を承認した。中山間地域の買い物手段確保が課題となる中、若桜町では唯一のスーパーが存続する見通しとなった。
同JAは承継を断念した本店(同市行徳1丁目)、フレッシュライフいわみ(岩美町新井)を除く5店舗の引き継ぎを模索。閉店期日が迫る中、1店舗単位での承継も視野に複数社と交渉を進め、実績などを考慮して同社に決まった。
残る用瀬店(同市用瀬町用瀬)と丹比店(八頭町北山)については店舗機能の存続を含め、引き続き県内外の複数のスーパーと交渉する。
同JAによると、若桜、ちづ両店は9月末に閉店後、改修やシステム発注などを経て、エスマートとして開店する。開店日は未定。若桜店では移動販売も継続する見通し。
吉成店は土地(5770平方メートル)と建物、内部設備を同社に売却する。冷蔵機器などの設備は若桜、ちづ両店に移設して活用される見込み。従業員には組織内異動や子会社への転籍、再就職あっせんを支援する。
理事会後に同JA幹部らが県庁と県東部1市4町を訪れ、引き継ぎの方針を報告した。
清水組合長は「若桜店とちづ店の方向性が決まり安堵(あんど)している。今後できるだけ早く交渉をまとめ、閉店後の空白期間を短くして利用者に不便をかけないように努めたい」と話した。
エスマートの寺谷社長は本紙の取材に対し「引き継ぎにより店舗網が強化され、買い物環境の確保が難しい地域の支援にもつながる。JAとの交渉を進め、できるだけ早期に店舗を再開したい」と話した。