今年7月に世界農業遺産に認定された美方郡の伝統的な但馬牛の飼育システムを国内外にアピールするため、兵庫県の斎藤元彦知事が21日、郡内の畜産関連施設を視察し、若手畜産農家らから飼育にかける思いを聞いた。斎藤知事は2年後に迫った大阪・関西万博を念頭に「多くの人に但馬牛を買ってもらい、遊びに来てもらえるよう認知度を上げる。そのための環境整備もしっかりする」と応えた。
新規就農者の初期費用を抑えるために新温泉町が同町丹土に整備している88頭収容可能なアパート牛舎の建設予定地などを訪れた。
このうち牛舎建設予定地では、若手畜産農家の村田瑞樹さん(28)、中井崇泰さん(30)と意見交換。大阪からIターンで畜産の道に進んだ村田さんは「入れ物(牛舎)を用意していただけなかったら牛飼いはできなかった」と話し、中井さんは「先代が築いてきた但馬牛の文化や歴史を途絶えさせないよう、広めたい」とさらなる研さんを誓った。そんな2人に斎藤知事は近年注目されているオーガニックを例に「どう畜産に取り入れていけるのか、より付加価値を高めるにはどうしたらいいのか。そういう情報を早めに察知して提供したい」と背中を押した。
また、万博の開催に合わせて県内で展開する体験事業「ひょうごフィールドパビリオン」に認定されている但馬牛博物館(同)を舞台にした探検隊事業を体験。野田昌伸副館長の手ほどきを受けながら、子牛をブラッシングしたほか、聴診器で心音を聞いた。