新武家小説「春かずら」スタート 

 ご愛読いただいた伊東潤・作、前田なんとか・画「鋼鉄の城塞(じょうさい) ヤマトブジシンスイス」は28日で終了し、29日から澤田瞳子・作、村田涼平・画による武家小説「春かずら」が始まります。掘割に水が流れる小藩で、12年も仇(あだ)討ちを果たせずにいる武士と仇(かたき)の息子である少年が出会い、ドラマが動き出します。四季の風物と人間模様が織りなす世界をお楽しみください。

作家の言葉

 今回の連載では武家小説に初めて挑戦します。故あって仇討ちを果たせぬまま一時帰国した年かさの藩士と、その仇の息子である不遇な少年。彼らの出会いと複雑な感情のもつれ、二人を取り巻く人間模様に、繊細な四季の風物を重ね合わせたいと思います。これまで歴史的事実に正面から取り組む作品を多く書いてきましたが、今回は人間そのものに取り組みます。

 澤田瞳子(さわだ・とうこ)1977年京都府生まれ。同志社大大学院博士前期課程修了。奈良仏教史を専門に研究したのち、2010年「孤鷹の天」でデビュー。同作で中山義秀賞受賞。13年「満つる月の如し 仏師・定朝(じょうちょう)」で新田次郎文学賞、16年「若冲」で親鸞賞、20年「駆け入りの寺」で舟橋聖一文学賞、21年「星落ちて、なお」で直木賞受賞。近著に「のち更に咲く」などがある。
画家の言葉

 澤田さんの筆によって描かれる世界はもちろん、舞台となる時代の人々の息遣いや風俗、四季の移ろいなど、物語から少し離れた所にも目を向け、寄り道できるような挿絵で伴走していきたいと思います。

 村田涼平(むらた・りょうへい)1977年静岡県生まれ。穂積和夫氏に師事し2006年よりフリー。第47回講談社出版文化賞さしえ賞受賞。主な仕事に葉室麟著「紫匂う」、澤田瞳子著「恋ふらむ鳥は」、永井紗耶子著「木挽町のあだ討ち」の装挿画などがある。
この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事