立食パーティーの無駄

吉武英行 五感の旅

 立食パーティーでいつも感じること。それは飲み物のグラスを置く場所だ。

 会場に入ってまず配られるドリンク。乾杯までは問題ないが、料理を取りに行くときには邪魔になるので、グラスをテーブルに置いての料理選びとなる。会場を右往左往すると知人、友人に会ったり、誰かを紹介されたりと、あちこちで途中下車の状況になることも少なくない。そして元の場所に戻ってみると、あらら、別の人たちがテーブルを囲み、そこには同じグラスがたくさん並んでいて、どれが誰の物か分からなくなっている。

 それで仕方なく、新しい飲み物を手にすることになるが、パーティーでは毎回多くの人々に同じことが繰り返され、実に多くの飲み物が無駄に捨てられている。筆者はこのことをいつも、とてももったいないと感じている。何とかならないかということで、いくつかの方法を考えてみた。

 フランスのワイン祭りでは入場料を払うと、首から提げるグラスフォルダーを渡される。グラスごとフォルダーに入れるので、料理を取る時も食べる時も自分の飲み物を手放すことがないから無駄がない。これは合理的だが、ドレスアップした人々が集うパーティーで、全員が首からグラスを提げるなど、みっともないかもしれない。

 グラスの色を何種類か用意するのも一案だ。完全ではないが、自分のグラスを識別できる確率が増える。テーブルにグラス置き場を作るのはどうだろう。料理の取り皿にグラス置きを作るとか。もしかすると各ホテルでは、お客からそれなりの料金を取っているので、無駄は仕方がないと考えているのかもしれない。

 しかし筆者は、一杯のワインも貴重品という貧しい国や貧しい人々もいることを考えると心が痛む。どうぞご一考を。

 (ホテル・旅館プロデューサー)

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