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感染者、すぐ入院できず 大阪府内高齢者施設

2021年2月21日

 高齢者施設の入所者が新型コロナウイルスに感染した場合、すぐに病院に入院できないケースがこれまでに起きている。軽症の場合や病床の逼迫(ひっぱく)度合いによって、施設での入所継続を余儀なくされるからだ。しかし、ほかの入所者に感染を広げるリスクがあるため、施設側は症状の重さにかかわらず、すぐに入院できるよう求めている。

現在の施設内で入所者(右)の体をベッドから起こす職員。食事や入浴の介助をするときはフェースシールドを着けて対応し、細心の注意を払っている(ホームさつき提供)

 「早急な入院を希望します」−。昨年12月12日、守口市の介護付き有料老人ホーム「ホームさつき」で、入所者2人が新型コロナに感染していることが判明した。副部長の大倉直也さんは、保健所に直ちに入院できるよう求めたという。

■重症化の割合高い

 ところが、保健所は「重症度が高い人が優先になる」と説明。感染した2人のうち1人は無症状で、もう1人は37度程度の熱があり、食事はほぼ口にできない状態だったが、2人とも軽症と診断されたという。

 当時の入所者は39人で、平均年齢は85〜86歳に上った。高齢者が感染した場合は、若い人よりも重症化や死亡する割合が高いとされている。

 「ホームさつき」では、入所者が24時間365日集団で生活しており、職員は食事や入浴、排せつの介助も行うため、距離の確保を徹底することが難しく、感染拡大のリスクと隣り合わせの状況だった。

 感染した2人の居室があった4階では、ほかの入所者を含めて全て居室内での食事に切り替え、食器は使い捨てに変更。介助する職員との距離が近づくため入浴も控えてもらい、体を拭いて対応した。職員はフェースシールドと普段着慣れていないガウンを着て介助に当たった。

■ウイルスへの恐怖

 目に見えないウイルスへの恐怖と感染拡大への不安の中、「職員は精神的に追い込まれた状態だった」(大倉さん)。熱のあった入所者は12月17日に入院が決まったが、無症状だった入所者は入院できないままに、1月中旬に経過観察が終了したという。

 濃厚接触者に認定された職員は、2週間の自宅待機となりスタッフが不足。運営法人に応援を依頼し、他施設の介護職員と看護師を派遣してもらい、何とか持ちこたえた。大倉さんは「自分たちが入所者を守るという使命感を持っていたからこそ、恐怖の中でも最後まで頑張ってくれた」と振り返る。

 続けて「病床は逼迫していたと思うが、持病のある高齢者が集団生活しているので、重症や軽症に関係なく、すぐに入院させてほしかった。それがクラスター(感染者集団)を発生させないことにもつながる」と語る。感染者が出た場合に備えて、普段から対応方法をシミュレーションしておくことも重要だと感じている。

 府は、病床が逼迫する状況では全ての人の入院調整を行うことは困難が伴うとし、優先順位の高い人から順次、調整を行っている状況だ。


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