来阪catch

一緒に胸を痛める

ドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」
監督 平良いずみ
2020年7月25日

雪国の少女が見た沖縄

「菜の花ちゃんの声が全国に届くように…」と話す平良いずみ監督=大阪市淀川区の第七芸術劇場
坂本菜の花さん(左)と地元沖縄の西銘さん(C)沖縄テレビ放送

 沖縄テレビのキャスターでディレクターの平良いずみ(43)が撮ったドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」(太秦配給)が25日から大阪・十三の第七芸術劇場で公開される。石川県の少女が沖縄のフリースクールに通いながら現地の人と一緒に考え、行動する日々を記録した作品で「少女が見た目で沖縄を考えてほしい」と平良監督は訴える。

 「ちむぐりさ」とは沖縄語で「あなたが悲しいと、私も悲しい」。沖縄には「悲しい」という言葉はなく、それに近いのが「肝(ちむ)ぐりさ」になる。「誰かの心の痛みを自分の悲しみとして一緒に胸を痛めること。それがウチナンチュ(沖縄人)の心です」。彼女は琉球大学から沖縄テレビに入社し、多くの社会問題のドキュメンタリー番組を手がけている。

 「沖縄の問題はこれまでいろいろあって報道がなされてきたが、近年、若い人に沖縄問題を扱う番組は2分で分かってしまうと言われる。じゃ、どうすればいいかを考え悩んでいるとき、石川県・能登半島から沖縄に来てフリースクールの珊瑚舎スコーレに通っている坂本菜の花ちゃんの顔がひらめいた。小学校時代からいじめに遭っていて、高校は沖縄を選び、食堂でアルバイトをしながら通う菜の花ちゃんにリポーターの役をしてもらおうと」

 菜の花さんは故郷の北陸中日新聞に月1回の新聞コラム「菜の花の沖縄日記」を書いていた。「沖縄の人は基地の問題など悲しいことが多いのに、いつも明るい顔をしているのはなぜ?」と菜の花さんは言う。彼女は2017年10月に高江の民間牧草地に米軍の大型輸送ヘリが墜落炎上した事故現場に行く。牧草地の持ち主である西銘さんは被害の実情より「まずヘリに乗っていた米兵を安全な場所に避難させることができてよかった」と話す。「メディアではなく、少女の純真なインタビューが西銘さんの素直な思いを聞き出したのだと思う」

 菜の花さんは「しゃべることより、聞くこと」と、スクールの友人、夜間中学のお年寄りの生徒たちとの交友を大事にしている。テレビ放送版は菜の花さんがスクールを卒業するまでだったが、映画版は卒業後故郷に帰り、もう一度沖縄を訪ね、辺野古基地問題などで闘うウチナンチュの人たちの話を聞く。彼女は「今できることをしたい」と笑顔をほころばせる。「沖縄の現実を直球でなく、優しい菜の花ちゃんの変化球で問うた作品になった」と平良監督は付け加えた。

 ※「来阪キャッチ」は終了します。



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