トレンド特急便

共同で改良 さらに進化 町工場開発のアイスピック

2020年11月18日

生産効率 大幅にアップ

生産工程を見直して生産効率を向上させた「プレミアファースト」。過去には「グッドデザイン賞」も受賞した(トモイR&D提供)
ボディーの金属部分にステンレスを用いた「スタンダード」。グリップ部分は木工作家が手掛けた4種類がある

 府内中小企業の技術を集めたアイスピックが、新型コロナ禍でさらに生産効率を向上させた。既に世に出ている商品だが、コロナ禍に沈む企業の活性化につなげようと、共同で生産性の改良に取り組んだ。特殊素材を用いた細く鋭い形状で、無駄な力を入れずに氷を割ることへのこだわりを継承。クラウドファンディングを活用し、「技術が世界に通用するかどうか。町工場のありようを問いたい」と決意がにじむ。

 手掛けたのは、東大阪市や八尾市など府内を中心とする町工場およそ8社で、音頭を取るのは舞台美術を専門に制作する鉄工所「トモイR&D」(八尾市、友井隆之代表)。各社から医療器具の製造やレーザー加工、研磨などの技術を結集した。「まがらない、折れない」品質を安定させ、月に10本以下だった生産数も最大で50〜60本へと向上させた。

 開発のきっかけは、針先や軸がすぐに破損してしまう「良いアイスピックってなかなかないんですよね」というバーテンダーのぼやき。当時は2008年のリーマンショックで、中小企業が活気を失うさなか複数社が技術を持ち寄って原型を完成させた。高級包丁や軍用ナイフに用いる硬質素材を針に応用し、重量バランスや針先の硬度、角度など試作を重ねた結果、10年には最高級品の「プレミアファースト」がグッドデザイン賞を受賞した。

 当時、友井代表が計画のヒントにしたのが、東大阪市の中小企業が開発に関わった人工衛星「まいど1号」だ。「若手を巻き込んで良いなと思った」。

 折しも、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、受注が停滞するなど今年は中小企業にとって苦難の一年になった。過去の取り組みを進化させ、生産の効率化を目指した。資金調達や販路拡大など「若手の実践の場に」との思いもある。友井代表は「町工場のポテンシャルを世に問うていきたい」と期待を込める。

 販売は「プレミア−」のほか「スタンダード」「スリー・プロングト」で、用途別の計3種類。クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」で。



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