岡力の「のぞき見雑記帳」

十徳日本酒販売所・小島拓也さん

2021年2月1日

お酒へのあくなき追求と愛情を注ぐ

日本酒の魅力を独自に伝える小島さん

 長きにわたり探し求めていた「好みの正解」に出会える酒販店が話題を呼んでいる。閑静な住宅街にひっそりとたたずむ「十徳日本酒販売所」(吹田市)は昨年4月に開業。店名は、室町から江戸時代にかけて流行した遊戯「餅酒論」(餅好き、酒好きが互いに良さを議論する)で愛飲家が説いた「酒に十の徳あり」という教訓に由来する。

 カウンター越しでお酒の相談に乗る小島拓也さんは、1984年生まれ、吹田市出身。弁護士を目指し龍谷大学法学部へ進学するも、キャンパス近隣で製造される伏見の地酒に魅了され「酒の道」を志す。

 卒業後、一度は財務を扱うコンサルタント会社に就職した。だが、その頃に老舗酒蔵の廃業を知り「一刻も早く日本酒を売らないといけない」という使命感から2年で離職。その後、言わずもがなの名店「山中酒の店」(大阪市浪速区)で6年半にわたる修業を経て独立した。

 現在、日中は大阪府内の飲食店に商品を配達し、夜は店舗で販売を行っている。「高齢者の方は既に好みのお酒が決まっています。若い方はリピートを重ねながら自分にあったお酒探しを楽しまれています」。店内にずらりと並ぶ17銘柄の地酒。試飲の際は、お客に対し酒蔵の立地、風土、造り手の思いを伝えながらグラスに注ぐ。「一般家庭で日本酒が当たり前のようにある光景をつくりたい。日本人のアイデンティティーを象徴するツールとしてこれからも全国の酒蔵を応援していきたいですね」。

 今年は自分なりの「酒十徳」を見つけることにした。小島さんと出会いリモートでは体感することのできない酒のぬくもりに触れ、ここで一つ目の徳を得た。

(コラムニスト)
■「十徳日本酒販売所」
 大阪府吹田市千里山西4の39 千里山ロイヤルマンション二番街B1F、電話06(6310)2211。営業時間は午後6時〜同9時(月・水〜土)、午前10時〜午後9時(日・祝)。火曜休み。https://www.juttoku−sake.com/


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