【香山リカ てのひら診察室】新潟水俣病訴訟 苦しむ人の思いをくみ取る姿勢望む

  •  香山リカ

 新潟県の阿賀野川流域で発生した新潟水俣病。1965年に公式に確認されたが、被害者救済特別措置法に基づく救済を受けられなかった未認定患者らが、国と原因企業の旧昭和電工に対して損害賠償を求めて訴訟を起こした。新潟地裁は原告47人のうち26人について水俣病と認定、同社に総額1億400万円の賠償を命じたが、国への賠償請求は認めなかった。

 これを受けて、新潟県の花角英世知事は、「本県は当該訴訟の当事者でないため、コメントは差し控えさせていただきますが、本県の水俣病に関する訴訟であることから今後の動向を注視してまいります」といった談話を発表した。被告側が控訴するかもしれず、完全に決着がついたわけではないが、実際に症状に苦しむ県民もいる中、あまりに突き放したコメントと言えるのではないか。

 安易な比較はできないが、2001年5月、ハンセン病患者への隔離政策をめぐり国が敗訴した訴訟で、当時の小泉純一郎首相は控訴しないことを決断。2019年のハンセン病家族訴訟で熊本地裁が国の責任を認定したときも、当時の安倍晋三首相は控訴を断念した。19年の訴訟では、官邸は「なにか患者家族の思いをくみ取る方法はないか」と...

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