【香山リカ てのひら診察室】自治体の“消滅” 東京至上主義も一因

  •  香山リカ

 民間組織「人口戦略会議」が、全国744自治体について「将来的に消滅の可能性がある」と発表した。今回、「消滅可能性自治体」とされたのは、「出産の中心世代となる20~39歳の女性が2020年から50年にかけて50%以上減ると予想される自治体」だ。私が現在、勤務する診療所がある北海道・むかわ町もこの数字が63.2%だから、当然、この定義にあてはまる。

 もちろん、公表した組織はこれらの自治体に脅しをかけるつもりではなく、少しでも人口減を防ぐための必死の方策を講じてほしい、という意図でそうしたのだろう。

 ただ、どの自治体もこれまでも人口の自然減や流出を放置していたわけではなく、あの手この手を打ってきたはずだ。たとえばむかわ町でも、さまざまな子育て支援に力を入れたり、野菜作りを楽しみたい移住者のための「家庭菜園ができる庭つき住宅」をあっせんしたりしている。実際に私のようにこの地で暮らし始めた人たちは、生活環境の良さや町の支援の手厚さを実感し、「来てよかった」と口にすることが多い。

 それでも人口減に歯止めがかからないのはなぜか。私は、その原因のひとつは各種機能の東京への一極集中や東京至上主義といっ...

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