淀川ワンドのヘラブナ釣り

大森均の釣れ釣れ草

ウキよりベランダに視線が…

 淀川には、川の流れがつくる浸食や堆積で、ワンドと呼ばれる池が各地にある。このワンドには、まったく遮断されたものもあるが、本流と水脈がつながっているものが多い。少ないながらもアシがあり、身を隠す障害物がある環境は、生き物にとって絶好のすみかになっている。絶滅寸前の天然記念物、イタセンパラもここに生息している。

 なかでも、かつての水都祭花火で知られる大阪工業大裏の城北ワンド群は、近在のヘラブナ釣り師に人気が高い。数はともかく、30~40センチの型のいい美しい魚体のヘラブナが釣れ、その強い引きを求めて釣り人が集まる。天気のいい日の休日は、どのワンドの釣り座も満員御礼札止めの大盛況。

天を突いた

 21日、門真市の永山要さんは、朝7時にワンドへやってきた。この3週間、10回通っているということは、ほぼ2日に一度の割合で釣りに来ている計算になる。とにかく釣り始めた。永山さんの大きく円を描くように振り込む一連の動作は、正確無比。同一地点にエサを振り込む技術はヘラブナ釣りでは大切な要素だ。

 ヘラウキが立つ。仕掛けがなじんで、一節だけ目盛りが水の上に顔を出す。上針のバラケエサが溶け出すと微妙にかつ少しずつ、一目盛り、また一目盛りとヘラウキが浮いてくる。一節、押さえ込むような力強いアタリがあった。その時、すでに名手の右手は、見事な反射神経で天を突いていた。大きく弧を描くヘラザオをためて、あやすようにやりとりをする。水面近くで反転した魚体が大きな波紋をつくった。こうして慎重に取り込んだヘラブナは、手計測で40センチジャストのビッグサイズ。

 この日、永山さんの釣果は午後4時半の時点で30~40センチのヘラブナを3尾、ニゴイの45センチを1尾であった。

外国人の女性が

 釣り仲間の藤本昌孝さんによると「永山さんは、いつも早朝からやって来て、あちらの友達、こちらの友達と、交流と称して邪魔をしてまわります。帰る間際の2、3時間に本腰を入れて釣りますが、これがいつもよく釣るんです」と、苦笑いをしながら永山さんの一面を語った。

 「釣りを始めた40年ほど前、関西大の敷地内の池によく通っていましたが、そこへ行くといつも釣果がよくありません。視線を少し上げると寮らしきものがあって、大胆にもベランダに外国人の女性が下着のまま出てくるものですから、ウキよりそちらに目がいって釣りになりませんでした。しかし、なぜかまた釣りに行くから不思議です」。明るく笑いながら楽しい話を聞かせてくれる永山さんは、当分はこのお気に入りのポイントで多くの釣友に囲まれて、この記事の再演をするかのように2日に一度、ヘラブナ釣りを楽しんでいるに違いない。

週末のイチオシ気配

 ■船①■阿尾・和歌山
 21日、午前便でイサギ32~42センチ92尾。竿釣り&船頭仕掛け手釣りOK。ハリス3号、テンビン3本針、オモリ120号。▽共栄丸=電話0738(64)2318

 ■船②■宮津大島・京都
 21日、活きエサ便8人でアコウ25~48センチ72尾とガシラ54尾とメバル3尾。潮により狙い期入り変えるので確認を。要予約。▽新幸丸=電話0772(28)0160

 ■船③■越前・大阪
 16日に解禁になった玄達瀬のヒラマサ・マダイ狙いがおもしろい。20日、ヒラマサ69~97センチ13尾とマダイ57~79センチ5尾、ブリ82~93センチ。要予約。▽晴海丸=電話090(4688)8515

 ■船④■田辺・和歌山
 お待ちかねアカイカ気配出てきた。20日半夜、田辺沖のイカメタルでアカイカ胴長10~20センチ22杯。要予約。▽貴丸=電話090(6242)8507

 ■磯①■大引・和歌山
 梅雨グレ堅調。アシカの子、ヒジキ、オオクラなどでグレ25~35センチ5~10尾。イサギ25~35センチ3~5尾交じる。オキアミボイル。水温22度前後。▽上野渡船=電話0738(65)1222

 ■磯②■尾鷲・三重
 グレ期待。35~40センチ3~7尾程度見込める。外道にイガミの大型やマルハゲ、アコウ、ガシラ等お土産多彩。エサはボイル。▽宮城野渡船=電話05972(2)1347

 ■筏①■戸津井・和歌山
 20日夕、湾内筏の2人連れがチヌ32~43センチを27尾。エサは、サナギとコーン。五目筏はエサ盗り多く一工夫が必要。▽つるしま丸=電話0738(66)0234

 ■筏②■本浦・三重
 21日、チヌ34~48センチ8尾(サナギ、コーン)。他に釣れた小アジを泳がせてヒラメ狙える。エサ盗りはフグ、アジ、ハゲ。▽やま栄渡船=電話0599(32)6009

 ■波止■北港・大阪
 落とし込みのチヌ絶好調。19日、舞洲で同魚35~52センチ24尾。連日同様の竿頭。エサはイガイと岩カニ。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712

 ■投げ■妻鹿・兵庫
 連日、7番付近で同魚17~23センチ10~15尾。上昇気配。エサは石ゴカイ。ガシラ、カレイ、アイナメ交じり退屈しない。▽日の出渡船=電話079(246)3030

 (大阪日日APG 錦剛司)

同じカテゴリーの記事