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なにわこの1年 年末回顧2005 (7)天満天神繁昌亭 2005/12/23
寄付集めに奔走「上方落語を守り育てる定席をみんなの力で建てたい」−。上方落語協会、大阪市北区の大阪天満宮、天神橋筋商店街などが一体となって目指してきた落語の定席小屋「天満天神繁昌亭」の建設。ようやく一日から工事が始まり、来年七月には完成する見通しが立った。新年早々に建設計画が具体化してから着工まで寄付金集めに奔走した一年だった。地域とともに大阪天満宮周辺は明治から昭和初期にかけて、多くの寄席や歌舞伎小屋が建ち並ぶ芸能の街としてにぎわっていた。吉本興業の発祥地でもあるこの場所に、六十年なかった定席を復活させることは上方落語協会(桂三枝会長)の長年の望みだった。「かつてのにぎわいを」と願う天神橋筋商店街と手を組み、大阪天満宮の寺井種伯宮司から敷地提供の協力も得て計画は本格化。二月には発起人会の発足にこぎ着け、建設資金のカンパの協力を大々的に呼び掛けた。 同じく二月には、寄席の運営などについて落語家や天神橋筋商店連合会(土居年樹会長)役員ら地元住民も学ぼうと、東京の寄席「新宿末広亭」の北村幾夫社長らを招いて勉強会も実施。東京での寄席興行の現状や運営方法などを探り、繁昌亭運営のヒントを得た。 以後、帝国ホテルでのチャリティー落語(三月)、マジックや腹話術などの「色もの」だけによる「色もん会」の旗揚げ公演(五月)、りそな銀行による「チャリティー寄席」(七月)など落語家自身が芸を披露して資金集めに走った。 新たな顔誕生へ市民や企業からは一口一万円の寄付を募り、協力者の名前をちょうちんに入れて小屋に飾る予定だ。かつての大阪城天守閣の再建のように、市民の手で建設を目指した。当初よりも膨らんだ建設費一億三千万円のめどがたった今月一日、大阪天満宮で新築工事安全祈願祭が行われた。参列した三枝会長は着工を喜び、「かつてのにぎわいをほうふつとさせるような、しっとりとした風情のある場所になるといい」と感無量の面持ちで話した。 設計は建築家の狩野忠正氏が担当。天神祭の船渡御の船をイメージした外観の二階建てで、立ち見を含めて定員は二百三十九人。当面は年中無休で、昼夜二回の公演を予定している。大正時代まで上方にもあったとされる「真打ち制度」の復活も一時検討されたが、若手落語家たちの反発などがあって復活は無期限凍結となった。 一門や事務所の垣根をなくし若手からベテランまでが総出演するほか、「落語や三味線のワークショップなども取り入れて、市民と密着した落語のテーマパークみたいなものにしたい」と三枝会長は夢を語る。 完成は来年七月。天神祭でにぎわうころ、新たな大阪の顔が誕生する。 ■取材メモ 「あのちょうちんにな、わたしの名前が入ってんねんで」「あそこのペンキな、ぼくが塗ってん」−。真新しい繁昌亭の客席で、自分の小屋のように自慢げに話す人たちの顔が浮かぶ。今後、工事の一部に市民を巻き込む計画も練る落語家らの思惑通り、出演者も観客もみんなが愛着を持つ小屋になるだろう。大阪が誇る文化のとりでが今後どう生かされ、新たな広がりを見せるのか、期待を込めて見守りたい。 |
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