大阪発 羅針盤

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ライフサイエンスの規制緩和へ

2016年6月27日

京阪神の連携不可欠 3商議所が共同要望

 国家戦略特区に指定された大阪、京都、兵庫3府県の各商工団体が、医療や製薬のライフサイエンス産業振興に向けた規制緩和の要望書を国に共同提出した。「京阪神は常にバラバラ」という負のイメージを覆すため、足並みをそろえた格好だ。リニア中央新幹線の大阪延伸時期の前倒し方針が示され、世界規模のスーパー・メガリージョン(巨大都市圏)形成が具現化しつつあるだけに、京阪神の特性を発揮する相互連携は欠かせない。

 大阪、京都、神戸3商工会議所は22日に提出した要望書で、京都産業大(京都市)を念頭に獣医学部の新設要件緩和を盛り込み、連携を印象付けた。京都府が国に示した2017年度政策提案を、民間サイドから一丸となって後押ししたからだ。

■3本の矢

 獣医学部新設について、京都府は「再生医療技術や医薬品開発の加速化には動物実験を担う獣医師を育成し、製薬企業などに供給することが必要」と説明。京都産業大の強みとして10年度に動物生命医科学科を設置した点を挙げており、3商議所の共同要望を知った京都府の担当課は「“3本の矢”ではないが、3府県が力を合わせれば強固になる」と歓迎した。

 3商議所はもともと各副会頭で構成するライフサイエンス振興懇談会を昨年11月に設置した経緯がある。その背景について、関係者は「(内閣府から)『常に京阪神はバラバラ』と言われる。一緒になっているところを東京にアピールしようと懇談会を設置した」と話す。

 つまり、京阪神は歴史的にそれぞれ独立心があるが、ライフサイエンスに関する大学・研究機関が集積する地理的な優位性を踏まえて「協調」を図ったというわけだ。

■圏域の特性

 折しも、2日に閣議決定された骨太方針を機に、リニア大阪延伸を巡って従来計画の45年から最大8年前倒しの方向が示されたばかり。関西経済同友会の蔭山秀一代表幹事は16日の定例記者会見で「(東京、名古屋、大阪の)異なった特性の地域がつながり、スーパー・メガリージョンは機能する」、鈴木博之代表幹事は「スーパー・メガリージョンは世界の中でのポジション(確保)が狙いだ」と説いた。

 関西圏の国家戦略特区はライフサイエンスの国際的イノベーション拠点が念頭にあり、いわば、ライフサイエンスは圏域の特性だ。その産業振興に向けた相互連携は日本の国際競争力向上の観点からも不可欠だろう。