大阪発 羅針盤

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JAXAが大阪で講演

2016年7月18日

宇宙開発に予算を ”応援団”の広がり期待

宇宙開発について語る黒川さん=15日、大阪市内

 見上げる宇宙から、身近な宇宙へ−。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が大阪市内で15日に行った講演のテーマだ。日本人飛行士が搭乗した7日のソユーズ宇宙船打ち上げ成功に加え、大阪では過去に「まいど1号」打ち上げ成功が話題になっただけに、JAXAは講演を通して日本の宇宙開発に対する後押しを期待していた。しかし、宇宙開発には多大な予算を伴う。果たして後押しの輪は広がるか。

 「事業仕分けでバサッとやられたこともある。応援する人が1人でもいると大きい」。JAXA広報部の黒川怜樹さん(38)は、日本の技術力向上に必要な予算確保の取り組みを求めた熱心な受講者の質問にこう答えた。JAXAの当初予算が2009年度の1925億円をピークに減少し、予算規模が米航空宇宙局(NASA)の約1割にとどまる現状を踏まえた説明だった。

■宇宙に近いまち

 「応援する人」をいかに増やすか。黒川さんが講演で強調した点は「暮らしの中の宇宙」だ。JAXAの衛星データがカーナビ、携帯電話をはじめ、収穫時期の予想や漁場の決定など第1次産業にも利用されている事例を紹介。さらに、宇宙開発の父と呼ばれたツィオルコフスキーの言葉「地球は人類のゆりかごである。しかし、人類はゆりかごにいつまでもとどまっていないだろう」も引用した。

 宇宙開発を巡って、大阪では09年に東大阪市の中小企業による人工衛星まいど1号が打ち上げに成功したほか、大阪大、大阪府立大、大阪市立大など宇宙や天文を学べる教育機関もある。宇宙が身近という観点からすれば、1937年開館の大阪市立電気科学館(現・大阪市立科学館)が東洋初のプラネタリウムを導入し、星の劇場として人々をいざなった。「大阪は宇宙に近いまち」と黒川さんが期待を込めたのもそのためだ。

■知的好奇心

 実際、JAXAの講演会を主催したグランフロント大阪のナレッジキャピタルによると、受講者を定員50人で事前募集したところ「瞬間」でいっぱいになるほど盛況だった。「宇宙に興味があった。謎が多く、いろんな想像ができる」とは大阪市内の女性会社員(38)の受講動機だ。

 宇宙には知的好奇心を生じさせる要素がある。アインシュタインの一般相対性理論発表100周年だった昨年、大阪市立科学館で講演した大阪市立大大学院の教授陣の一人は「人類は役に立つことだけに興味があるわけではない。宇宙がどうなっているかワクワクするところに興味がある」と語っていた。

 「2位じゃ駄目なんでしょうか」−。日本の研究・技術に対する手厳しい評価を記憶にとどめるJAXAは「応援する人」の輪を広げることに余念がない。