大阪発 羅針盤

 地域の取り組みや課題、人々の動きや思いを通して大阪の明日、日本の未来を展望します。

関西スポーツ科学・ヘルスケア総合センター

2016年8月27日

「健康」の発信地に 新たな都市像提示

関西スポーツ科学・ヘルスケア総合センター(仮称)整備予定地=箕面市提供
中田研教授

 2020年度の北大阪急行線延伸に合わせ、新駅周辺で地元の箕面市や大阪大が計画する「関西スポーツ科学・ヘルスケア総合センター(仮称)」の整備はこの秋にも始まる。20年の東京五輪・パラリンピックと21年の関西ワールドマスターズゲームズ(WMG)の開催による健康志向の高まりを見据えた計画であり、大阪の都市像のありようを提示している。

■船  場

 地下鉄御堂筋線と直結する北大阪急行線の延伸事業は、現在の千里中央駅から北に2・5キロ延伸する。新設の箕面船場、新箕面の2駅のうち箕面船場駅の周辺が「関西スポーツ科学」の整備予定地だ。

 箕面船場駅周辺はその名の通り、大阪市中心部の繊維問屋街でもあった「船場」(中央区)周辺の過密化を背景に箕面市で1970年に開業した大阪船場繊維卸商団地が位置する。同団地を巡っては繊維業界の不況や流通構造の変化によってビルや倉庫の空きが生じていた。

 このため、地域を再整備する要素が「関西スポーツ科学」にはあるが、関係者連絡協議会メンバーの中田研氏(55)=大阪大大学院医学系研究科教授=の視点は大阪全般にわたる。つまり「大阪が栄えた歴史の一つは繊維だが、今後は健康の発信地として価値が高まる」という見立てだ。

■産業拠点

 「関西スポーツ科学」の内容は、関節症や認知症を懸念する若者や高齢者のニーズを踏まえた運動器、脳機能の健診をはじめ、トップアスリートによる市民講座などを開くホールの運営を手掛ける。ジュニア世代を含むアスリートやダンス、バレエなどのアーティストに対する運動指導も実践するが、パラリンピック選手のトレーニング支援・器具開発を通して応用可能な機能障害補助機器の産業化も目指す。

 こうした計画は、大阪でバイオ医療産業の拠点形成を目指す経済界の意向にも合致する。大阪商工会議所は8月9日付で政府に提出した同拠点形成のための要望書で「関西スポーツ科学」の整備計画に言及。国立スポーツ科学センター(東京都)の西日本の拠点を「関西スポーツ科学」整備予定地の箕面市に設置することを求めるなど計画を後押しする動きが生じている。

 超高齢化時代を迎え、健康寿命を延ばすことが日本社会の課題となる中、「運動習慣を高める施設」(中田氏)として東京五輪や関西WMGの開催時期に誕生する「関西スポーツ科学」を大阪再生に生かさない手はない。