大阪発 羅針盤

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関西シニア大学校交流会

2016年11月4日

キーワードは「楽しさ」 認知症理解にかるた、マージャン

認知症を学ぶ教材のかるた

 関西エリアの生涯学習機関が一堂に会する関西シニア大学校交流会が10月28日に大阪市内であり、お互いの学習プログラムの情報を交換した。高齢者の4人に1人が認知症とその予備軍とされる中、兵庫県阪神シニアカレッジが紹介した教材は「かるた」と「マージャン」。かるた遊びを通して症状や予防法を学び、マージャンによって脳を活性化させる試みのベースは「楽しさ」だった。

■カリキュラム

 かるたの句「いわし・さば さんまも食べて 元気です」は魚を食べればアルツハイマー型認知症のリスクが低減する疫学調査を踏まえている。「ぎゅっとした 手のぬくもりは 変わらない」は五感に働き掛けるコミュニケーションの大切さを説き、「今朝食べた 食事のことも 幻か」は空腹感や味覚の低下によって食べたことを忘れがちになる症状への理解を求めている。

 活動報告した兵庫県阪神シニアカレッジの宮本節子さん(68)は、かるた遊びによって認知症を「楽しく学べる」と指摘。マージャン教室は、未経験の60歳以上の女性を対象にしており「知らないことを覚えると脳の活性化にいい。そこに行けば仲間がいる」と説明した。

 交流会の開催地だった大阪府高齢者大学校の和田征士理事長が「魅力あるカリキュラムをどう開発するか。お互いにいいところを吸収すればいい」と呼び掛けたところ、兵庫県阪神シニアカレッジが用意した「かるた」の見本コーナーには人だかりができていた。

■ビジネス界も

 「認知症に関する情報の多くはケア(介護)する側に向けたもの。患者本人へ向けた情報は少ない」

 健康寿命延伸のビジネスを模索する企業が大阪市内に集った31日の交流会で、介護施設を運営する野花ヘルスプロモート(岸和田市)の冨田昌秀代表は「認知症の可能性を本人に丁寧に説明しても不安を増長する」と指摘した。アルツハイマー病の診断を受けたオーストラリアのクリスティーン・ブライデン氏が講演活動などを通して認知症の人々や家族に希望を与えている事例を念頭に「こうした声を届けることが不安を無くす」として企業側に一考を求めた。

 大阪府の健康寿命は男性が69・39歳、女性が72・55歳で、平均寿命との差は9〜13年に及ぶ(厚生労働省2010年データ)。健康寿命をいかに延伸するか。宮本さん、冨田さんがそれぞれ示した「楽しさ」「安心感」の提供は認知症の予防やケアに欠かせないキーワードと言える。