大阪発 羅針盤

 地域の取り組みや課題、人々の動きや思いを通して大阪の明日、日本の未来を展望します。

リニア中央新幹線 全線開業へ

2017年4月1日

東京圏への人口流出、歯止めを 真価問われる中部圏連携

 東京と大阪を1時間で結ぶリニア中央新幹線全線開業の早期実現を目指す関西圏の経済界が、中部圏との連携を模索している。東京一極集中の是正を念頭に置いた取り組みだが、背景には2027年に先行開業する東京−名古屋によって関西圏が「のけ者」になるとの悲観論もある。東京圏への人口流出が続く中、日本の三大都市圏の2極を形成する関西・中部連携の真価が試される。

■波に乗る

 45年だった全線開業の時期について、最大8年間の前倒しを目指す国の方針は昨年の閣議決定や法改正で示された。昨年から今年にかけ、25年国際博覧会の大阪誘致が本格化し、北陸新幹線の全線ルートが確定するめども立ち、関西経済界は「関西が波に乗りつつある」(清水春生・関西経済同友会常任幹事)と捉えている。

 この“波”に乗る形で3月22日に開いたリニア中央新幹線のシンポジウムは「連携によって首都圏を凌駕(りょうが)する」(沖原隆宗・関西経済連合会副会長)ことを主眼に置いたが、その連携の必要性を強く指摘したのが森川高行・名古屋大教授だ。東京−名古屋の先行開業によって「関西は『のけ者』になる」と警告した。

 実際、関経連と大阪商工会議所の会員企業を対象にした昨年4月の調査結果(125社回答)によると、大阪まで開通しない状況が45年まで続いた場合の影響について「ある」「多少ある」「どちらかといえばある」とした企業は82・4%を占めた。関西の商圏縮小による業績の悪化を懸念し、人材確保で関西が不利になるとの不安もあった。前倒しに伴って大阪までの開通時期は早ければ37年になるわけだが、それでも東京−名古屋と名古屋−大阪の開業には10年以上の空白期間が生じる。

■スクラム

 関西、中部連携を巡って、関経連と中部経済連合会は昨年9月に東京一極集中の是正につながる税制改正の要望を取りまとめた。東京23区から地方に本社機能を移転する場合に受けられる税制優遇措置について、適用除外された関西、中部両圏の都心部も移転先の対象エリアにすることを求め、スクラムを組んだ格好だ。森川教授も中部、北陸両圏の地理的つながりを加味して「関西−北陸−東海連合」の経済団体設立を提案しており、一考に値しよう。

 関西圏の8府県と4政令指定都市でつくる関西広域連合のまとめによると、昨年の東京圏からの転入人口は6万6939人だったのに対し、東京圏への転出人口は9万2230人で、2万5291人の転出超過だった。1万1753人の転出超過だった12年に比べて倍増しており、広域連合長の井戸敏三・兵庫県知事は3月23日の委員会で「就職時期に東京に吸い込まれている」と危機感を募らせていた。

 入学・入社シーズンによって人口移動が生じる春を迎え、改めて東京一極集中に歯止めをかける対策に知恵を絞りたい。