大阪発 羅針盤

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百舌鳥・古市古墳群、世界遺産再挑戦

2017年5月21日

国内推薦結果は7月末 ”4度目の正直”なるか注目

百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録推進シンポジウム会場=14日、大阪市中央区

 百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録を目指す大阪府と堺、羽曳野、藤井寺3市が、7月末の国内推薦獲得に向けた機運の醸成に余念がない。国内推薦を過去3度見送られた経緯があり「まだかまだかと待っている」(地元関係者)状況だが、果たして4度目の挑戦は結実するのか。

■負けない

 「2025年の国際博覧会(万博)誘致活動もしている。東京に負けない『2極』と呼ばれる大阪をつくりたい」

 松井一郎知事は14日の世界文化遺産登録推進シンポジウムでこう呼び掛けた。来年11月の万博開催地決定を前に世界文化遺産登録の国内推薦を勝ち取り、大阪の魅力を高める思惑が、知事の言葉ににじんだ。

 推薦を獲得した場合、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関イコモスによる審査、現地調査を経て19年7月にも登録の可否が決まる。この年は大阪が開催地の一つになるラグビーW杯があり、21年には関西ワールドマスターズゲームズが控える。

 20年五輪・パラリンピック開催地の東京都に「負けない」ほどの素地が大阪、関西にはあり、世界文化遺産登録が実現すれば話題性は高まりそうだ。

■異彩放つ

 百舌鳥・古市古墳群はこれまでに13、15、16年の文部科学省文化審議会の選考で推薦を見送られた。4回目の今年は「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道と青森、岩手、秋田3県)と「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟県)を相手に「1件」の推薦を競う。

 その前段として府と3市が開いたシンポジウムは、有識者らの講演やディスカッションを通して百舌鳥・古市古墳群の優位性を再確認する機会だったが、福永伸哉・大阪大大学院教授(考古学)による「地球遺産」の視点は異彩を放っていた。

 1500年間受け継がれた百舌鳥・古市古墳群の歴史を念頭に「保存管理すれば1千年、2千年先まで残る。(その時に)地球外生物と関係が生まれて全宇宙外交ができれば、地球遺産としてアピールできる」と持論を展開した。「飛躍している」との指摘はあったが、世界遺産登録はゴールではなくその先を見据える姿勢は必要だろう。

 世界遺産は現時点で20件登録されているが、西和彦・文化庁参事官はこう指摘した。

 「世界遺産になれば何が変わるのか。(地元当事者は)そのことをどこかで考えていかなければ、世界遺産になっても息切れしてしまう」

 百舌鳥・古市古墳群 大阪府南部の堺市と羽曳野市、藤井寺市にまたがり、4世紀後半〜6世紀前半に築かれ、日本最大の前方後円墳で全長486メートルの仁徳天皇陵古墳など89基の古墳が現存する。