大阪発 羅針盤

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加計学園 獣医学部問題の余波 

京産大の新設 当面困難
2017年5月29日

宙に浮く京阪神3商議所の要望

京阪神の3商工会議所が昨年6月にまとめた要望書。「獣医学部新設」を盛り込んでいた

 政府の国家戦略特区を活用した獣医学部の新設は、学校法人加計学園(岡山市)だけでなく、京都産業大(京都市)も計画していた。愛媛県今治市に新設する獣医学部の運営事業者に加計学園が選ばれたため、断念せざるを得なくなったが、地元京都に加え大阪、神戸の3商工会議所はこれまで、圏域の産業振興のため京都産業大の計画を後押ししていた。それだけに、政局の焦点になった加計学園問題は少なからず、その余波が京阪神に及んでいる可能性がある。

■共同要望

 ライフサイエンス分野の大学、研究機関、企業が集積する特性を踏まえ、3商議所が同分野で初めてとなる共同要望書を政府に提出したのは昨年6月。健康・医療の国際的イノベーション拠点形成を目指す国家戦略特区に指定され、この特区を活用した規制緩和の一つとして獣医学部の新設を要望した。「医薬品開発時に動物実験の専門家が必要」(大阪商議所)なためだ。

 3商議所が共同要望した背景には「京阪神はバラバラ」と見られがちなイメージを払拭(ふっしょく)する狙いがあり、協調性を意識したものだ。3商議所の行動に対し、京都府は当時「“3本の矢”ではないが、3府県が力を合わせれば強固になる」と歓迎した。

■注  視

 その京都府も京都産業大の獣医学部新設に向け、既存の動物生命医科学科を通してライフサイエンス分野の研究で成果を上げている点を政府に強調したが、政府は今年1月に今治市での新設計画を認定。加計学園が事業者に選ばれた。

 加計学園の計画を巡っては現在「総理のご意向」などが記されたとみられる一連の文書の真偽が注目されているとはいえ、京都産業大の獣医学部新設が当面困難になったことに変わりはない。今後の取り組みについて、京都府の担当者は「機会があれば要請するが、どう動いていいか分からない」と話すのが精いっぱいだった。

 ライフサイエンス分野の産業振興に向け、京都産業大の獣医学部新設を目指した3商議所の共同要望書も宙に浮いたまま。「推移を見守っている」。京阪神の足並みをそろえた3商議所の関係者はこう語った。