にちにち動物百科

 動物園はワンダーランド。ライオン、キリン、チンパンジー…。大阪市天王寺区にある天王寺動物園は、都会の真ん中でありながら、非日常の世界が広がります。のんびりさんだったり、怒りんぼうだったり。私たちがそうであるように、動物たちも見ているだけでは分からない愛くるしい一面があります。飼育員だから知っている動物たちの性格や食事、クスリと笑えるエピソードも交えて紹介します。

☆1 ライオン

2018年4月12日

いとこ同士、仲良し3頭

ガオウ おっちょこちょいの一面もあるガオウ。9歳と若いからか、迫力不足の声も…
ルナ シャープな顔つきが特徴のルナ。好奇心旺盛でしっかり者タイプ
モナカ 尻尾の先が見分けるポイント。天然でマイペースな性格とはいえ、牙をむく姿にドキリとする

 初回に登場するのは百獣の王といわれる「ライオン」です。

 天王寺動物園には、ガオウ(雄、9歳)と、双子のルナ(雌、8歳)とモナカ(雌、8歳)の3頭が仲良く暮らしています。

 3頭は母ライオンが姉妹のいとこ関係。和歌山県の南紀白浜アドベンチャーワールドで生まれ、2012年11月にそろって来園しました。

■ずっと一緒

 赤ちゃんの時から、イベントに出ていた3頭。人懐っこく、よく目が合います。

 3頭の力関係は絶妙です。ライオンの群れ(プライド)は雄1〜2頭に複数の雌、子ライオンで形成されます。狩りは主に雌の仕事で、木陰で涼む雄はまさに“皇帝”のイメージ。ただ、1歳違いの3頭の三角関係は少し違うようです。

 担当飼育員の町出猛さん(49)によると、「ガオウはモナカにちょっかいを出しては、ルナにいつも怒られている」とのこと。また、来園当時は何度も電気柵に当たってしまったとか。勇ましい名前とは裏腹に、気弱で慌てん坊の一面もあるようです。

 3頭の中で一番の元気印がルナ。マイペースのモナカとは対照的に好奇心旺盛で、バックヤードに飼育員が現れると、真っ先にやって来ておやつ(鶏肉)をねだります。

 そのうち、ガオウが来ますが、モナカはずっと岩の上にいることもしばしば。一日を終えても、“その気”にならないと獣舎に帰ろうとしないモナカを、ルナが連れてきてくれることも多いそうです。

 2頭の見分け方は、尻尾。尻尾の先の“ぼんぼり”が大きいのがルナ、モナカはほぼストレートです。また、面長なのがルナ、丸顔がモナカ。見慣れてくると、すぐに分かります。

■20時間ごろごろ

 ライオンは1日20時間は、木陰でゴロゴロしていると言われます。夜行性のため基本的に狩りは日暮れからということで、園でも閉園間際になると動きが活発になります。運がいいと、じゃれ合う3頭、時にはルナがガオウの上をジャンプで跳び越える場面を見られるかもしれません。

 また、寒さが苦手の3頭のために、展示エリアの岩やコンクリートにはヒーターが仕込まれています。寒い日に岩の上に悠然とたたずむ下には、そんな裏技があるんですね。

 暖かくなるこれからの季節は、ガラス張りエリアの下のコンクリートが狙い目。ひんやりとしている上、送風もされます。気持ちよく寝転がる“ネコ科”の本能が観察できるのも、動物園の醍醐味(だいごみ)です。

【ライオン】 学名Panthera leo。食肉目ネコ科。中央アフリカ、インド北西部に分布。

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