英語に親しむ

第6部「かける」(上) 「英語×日本文化」

2016年9月5日
歌舞伎の魅力を中高生に伝える片岡千次郎さん=大阪市天王寺区の大阪国際交流センター

 膝に物をはさんだ感覚で、ちょこちょこちょこと歩き、最後にこける。「痛いわ、痛いわ、痛いわ」−。

 大阪市天王寺区の大阪国際交流センターで8月下旬、講師を務めた歌舞伎俳優の片岡千次郎さん(35)が女形の歩き方を実践し、解説した。中学生と高校生を対象にした講座「伝える和文化」の一こまだ。

■おもてなし

 歌舞伎をはじめ煎茶道、浴衣着付けの専門家がそれぞれの魅力を語り、ネーティブアシスタントが英語で表現する方法を教える。大阪国際交流センターがこの夏開講した「伝える和文化」は、日本の文化を理解し、英語で伝える「グローバルコミュニケーション力」の習得を目指したものだ。

 東京五輪・パラリンピック開催の2020年に向け、政府は訪日外国人客4千万人、受け入れ留学生30万人の目標を設定しており、グローバル化はますます加速する。こうした環境が大阪国際交流センターによるグローバル人材育成の背景にあり、事務局長の豊岡賢二さん(67)は「訪日客は日本人と触れ合い、日本の文化を知りたいと思う。伝えることができれば、それが一番のおもてなしになる」と話す。

■ワンピース

 歌舞伎の講座に参加した中高生は14人。片岡さんは受講生に対して歌舞伎の化粧法である隈(くま)取りをするなど雰囲気を味わってもらうことに時間を割いていた。

 歌舞伎を巡っては人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』とのコラボレーションが話題になったばかり。歌舞伎界では若年層にも親しまれるための取り組みが続き、片岡さんも「歌舞伎は堅苦しいものではない。(舞台で)ライブ感を味わってほしい」と呼び掛けた。

 「歌舞伎のメークは派手で、すてき」と感想を抱いた大阪YMCA国際専門学校1年の池田可南子さん(16)は「英語を使って日本の文化を伝えたい。外国の文化も知りたいと思う。お互いの文化を知ることに意味がある」。高槻市の高校3年の女子生徒(18)は「大学に進学したら交換留学生がいると思う。積極的に関わりたい」と話した。

■期 待 感

 「若い人たちが歌舞伎を理解し、世界の人たちに英語で伝えることは素晴らしい」。片岡さんは講義後、期待を込めてこう続けた。

 「(世界の人たちに)歌舞伎を知ってもらう“懸け橋”になってほしい」

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 「英語に親しむ」第6部は「かける」をテーマに、英語を活用した取り組みを紹介する。

 大阪国際交流センター 大阪市制100周年記念事業の一環として国、自治体、関西経済界の支援によって1987年に設立。国際化のための担い手育成をはじめ、外国人が暮らしやすい地域づくりに取り組んでいる。