大森均の釣れ釣れ草

生き物の小宇宙「淀川ワンド群」

2017年4月3日

城北ワンドのヘラブナ釣り

前田さんの視線の先に35センチの良型ヘラブナが逸走する

 天然記念物イタセンパラなどが住む淀川ワンド群は、府民の憩いの水辺として親しまれている。ワンドとは、淀川本流と水脈がつながっているか、水が増えたときにつながる河川敷の小さな池のことをいう。川の水や雨水がたまってできた一時的な「水たまり」と区別していつしかワンドと呼ばれるようになった。常時水が保たれているということが定義の一つなのであろう。

 ワンドを擁する淀川は、身のまわりに自然が少ない浪速っ子にとって大昔から特別な存在であったことがうかがえる。おおげさに言えば、古代の日本の文明は、淀川の水路によって開かれたと言っても過言ではない。古くから西国や瀬戸内海へ出る重要な交通路で、米や物資を京の都へ送るための輸送路として活躍してきたことは広く知られている。

 しかしそのころの淀川の水路は、今のような安定した姿ではなく、至るところに土砂がたまり、浅瀬であったらしい。土佐日記の紀貫之も、四国土佐から京の都への帰路、淀川で舟が浅瀬に乗り上げ難儀したということを記している。

 明治維新を経て、大阪港の築港計画が持ち上がった。平成の今でさえ、高齢な大阪人がいまだに北港あたりの湾岸付近を「築港」と呼ぶのはその名残と推測される。この計画の一部は、京都伏見まで蒸気船が通る川に改修しようというものだった。まっすぐな水路は、川の流れが速くなって蒸気船が登り難いので、水路を曲げて流れを緩やかにするための構造物を設置した。そこに土砂がたまり、その上に水際を好む木や草が生え、現在のワンドの原型ができた。淀川全体で約45のワンドがあるが、環境が微妙に異なっており、一つ一つが個性的な生き物の小宇宙となっている。

 ▽10センチと狂わない同じ釣り座

 3月28日、鶴見区の前田光夫さんは、淀川左岸大阪工業大学前の城北ワンドに出かけた。このワンドに隣接するグラウンドは、かつて水都祭の一大ページェントが繰り広げられる場所であった。自宅から自転車で20分のこの釣り場に25年間、ヘラブナ釣り一筋に通い続けている。この場所で去年の5月に36尾の大釣りをして以来、10センチと狂わない同じ場所に釣り台を構えることがこだわりと言う。

 午前6時に釣り始めたが、スレアタリ(魚体が釣り糸に接触してウキが反応すること)が多く、魚が寄ってきているのになぜか口を使ってくれない。釣れない状況が続いても、ウキに反応がある時は集中力が持続する。約1時間半、一定間隔でエサの打ち返しを辛抱強く続けていると、ウキの目印の一節だけ押さえ込むようなアタリがあった。

 反射的に右手が天を突いた。その手に握られているサオは大きく弧を描き穂先は水面に突き刺さるような角度で絞り込まれている。前田さんは、その経験から「尺以上ある!」と読んだ。尺以上になると、重戦車のような引きに手前に寄せてきても反転してまた沖に走る。なだめすかすようにようやくタモ入れしたヘラブナは予想通り尺越えの35センチ。この日のヘラブナ18〜35センチを12尾の釣果に「まずまずでした」と笑う前田さんは、次の日も同じ場所でまったくこの記事の再演をするように、大きくサオを曲げているに違いない。

週末のイチオシ気配

 ■船(1)■戸津井・和歌山

 白崎沖に出船しているアジ狙い期待。25〜35センチ40〜50尾が平均釣果。竿釣り、天秤4本針、ハリス4号、オモリ110号。▽つるしま丸=電話0738(66)0234

 ■船(2)■袋・和歌山

 潮岬沖の流し釣りで、グレが釣れている。40センチ台の大物もまじり楽しめる。少ない人で10尾程度、多い人は20尾の釣果。他にイサギ、ハマチビキなど数尾まじる。▽かわばた渡船=電話0736(62)0052

 ■船(3)■日の岬沖・和歌山

 イサギ上向き。平均20〜40尾期待できる。これから初夏まで釣れ続くのが例年のパタ〜ンで尻上がりによくなる見込み。▽共栄丸=電話0738(64)2975

 ■磯(1)■神谷・和歌山

 チヌ有望。蟻島のインキョ、蛇の鼻は大型の実績場。今週末あたりは例年の釣れ具合から35〜50センチサイズなら2〜5尾期待できそう。また、アオリイカも生きアジのヤエン釣りで胴長20〜40センチ2〜5ハイは見込める。▽佐知丸=電話0738(65)0736

 ■磯(2)■大引・和歌山

 マダイ依然好調。アシカの親・子、オオクラなどの磯で良型がフカセ釣り、カゴ釣りともに期待できる。他に底物が本格化寸前。▽村井渡船=電話0738(65)1041

 ■波止■南港・大阪

 チヌ・ハネともに好調。チヌは宇部波止で35〜50センチが2〜5尾程度(イガイやパイプムシ)。エビ撒き釣り、フカセ釣り(オキアミ)でも同様の釣果。ハネもエビ撒き釣りで40〜55センチが1〜5尾。▽丸高渡船=電話06(6613)1075

 ■バス■琵琶湖・滋賀

 例年のデータからロクマルが期待できる。一昨年4月初旬にロクマル4尾登場。それらはクランクベイト、ジャコビー、ラバージグ、ネコリグにそれぞれにヒット。▽小林貸船釣具店=電話077(522)6347

 (大阪日日APG 松田勝也)