金井啓子の現代進行形

都議選後も続く“小池の乱”

2017年7月6日

都民F代表辞任の思惑とは

 東京都議会選挙で圧勝をおさめた「都民ファーストの会」を代表として率いていた小池百合子東京都知事が、選挙翌日に代表を辞任した。「選挙のためだけの代表だったのか」といった批判や国政を目指すためかという推測もあるようだが、首長政党は二元代表制を危うくするとの批判をかわすためという理由が大きかったのではないか。

 都知事がこういった判断を取った背景には、おそらく大阪維新の会の存在があるのではないだろうか。大阪府の松井一郎知事が代表を務める大阪維新の会は、都民ファーストと同じく首長政党であり、大阪府議会と大阪市議会では最大会派。その最大会派は議会で首長とぶつかることは少ない。大半が首長提案に賛成し、議会のチェック機能を果たしているのかは疑わしい。

 このことは維新自身も認めている。維新のウェブサイトには「大阪都構想への疑問についての回答」と題するページがあるのだが、そこに「『二元代表制の下では、首長は議会の多数派と対立関係にあるべき。そのほうがチェックがきいて健全で民主的』という見方は一見正しそうに見える。だがそれは、いわゆる“ねじれ現象”を招き、行政に混乱を招く場合も多い」と記している。また、「おそらく権力は集中させるべきで、一元代表制がよい」と、維新自らが堂々と二元代表制を否定している。この主張に沿うならば、維新は二元代表制より一元代表制を望んでおり、議会活動もそのような方針なのだろう。

 一方、松井知事は3日、記者団に「(首長が)政党代表であっても、議会との『二元代表制』は成り立つ。大阪では機能している」と語っている。二元代表制を否定したり、別のところでは「機能している」と言ってみたりと、いったい全体どちらなのか。何をふらふらしているのだろうか。

 地方政治においては、予算編成権と執行権を持つ行政の方が圧倒的な力を持ち、そのためのチェック機関として議会が議案の否決権や修正権、提案権を機能させている。この機能がなければ行政はやりたい放題となり、暴走を許してしまうことになりかねない。

 維新がウェブサイトで言うように、「ひどい場合には与野党相乗りで首長を担ぎ、議会に多数派与党勢力を作って議会とのなれ合いによる談合政治に陥っている」との指摘は当たっているとは思うが、だからといって二元代表制を否定するのはどうなのか。維新の指摘が事実なら、首長と議会とのなれ合いを防ぐこと、すなわち二元代表制を機能させることが、より大切ではないのか。

 二元代表制を守るため小池都知事が代表を辞任したとしたら、その判断は決して間違いではない。首長政党と二元代表制は成り立つとする松井知事のほうが違和感がある。

 (近畿大学総合社会学部教授)