金井啓子の現代進行形

仕事中は出産禁止?

2017年7月27日

女性の社会進出進む中で

 東京の青山学院女子短期大学が2019年度から学生募集をやめると発表した。18歳人口の減少で大学にとって厳しい時代と言われているのに加えて、女性の4年制大学志向が強まっていることもあり、志願者が減る傾向にあるためと報じられていた。

 東京出身の私にはこの『青短』はなじみ深い学校だ。受験生の頃に同校の人気は高かったことをよく覚えているし、私の周囲だけでも数人の友人が進学した。母校がなくなるというのは寂しいことだろう。

 ただ、女性の4年制大学志向の強まりが募集停止の要因の一つだという話を聞いた時だけは、実はなんだか明るい気持ちになった。それは、私と同世代の女性の中には、大学受験を控えた時期に両親、それも特に父親から「女には教育はそんなに要らない。せいぜい短大で十分だ」と言われて、望んでいた4年制大学には行かせてもらえず、短大に進学した人たちもいたからである。大人になった今でも、その当時の悔しさを忘れられないという友人から話を聞いたこともある。短大進学だけではなく、「ひとり暮らしは絶対にさせない。女のおまえが実家を出られるのは結婚する時だけだ」と父親に言われて、結局、やはり結婚時にようやく実家を出たため、人生で一度もひとり暮らしをした経験がないという友人もいる。

 一方、私が教員になって10年目だが、女子学生と話している際に、「女だから何々をしてはいけないと親に言われた」という相談を受けた記憶がほとんどと言っていいほどない。私が在籍しているのが4年制大学だということを差し引いても、大学生を子どもに持つ親世代の意識は確実に変わってきているのを感じる。女性であることの制限がどんどん薄らいできているということだろうか。

 と思っていたら、なんだか嫌なニュースを目にした。出産で休みを取る国や地方自治体の女性議員が批判にさらされているというのだ。鈴木貴子衆院議員が第1子妊娠を自身のブログで公表すると、「(任期中の妊娠は)職務放棄ではないか」「これだから女性議員は」といった厳しい声が寄せられたそうだ。また、東京都新宿区の鈴木宏美区議が2度の出産で4カ月ずつ産休を取ったところ、ネット上で非難を浴びたほか、同僚議員からも「産休中は議会のフロアに入るな」と言われるなどの経験をしたのだと、新聞で報じられていた。

 妊娠は男と女の双方がいなければ成立しないが、妊娠したその子どもを出産できるのは女だけだ。そして、いかなる人間も女による出産を経てこの世にいま存在している。そんな当たり前のことがわからないはずもなかろうに、産む能力をなぜそんなに邪険に扱うのだろうか。産むことを強要もせず、さりとて疎んじることもない。そういう柔軟で自由な空気が広がれば、男も女も今より選択肢がもっと広がるはずだ。

 (近畿大学総合社会学部教授)