金井啓子の現代進行形

カジノの回数制限に感じる疑問

2018年2月22日

なしくずしで抜け穴生まれるか

 日本にカジノができたあかつきには、どうやら日本に住むわれわれも入ることが許されるらしい。それもかなり頻繁にである。報道によると、政府は今月15日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の規制について、日本人や日本在住の外国人の入場を「7日間に3回」かつ「28日間で10回」までに制限する原案を自民、公明両党に示したという。

 もともとはギャンブル依存症の広がりを懸念して、カジノを日本に作っても外国から訪れる人々だけを対象とする案も出ていたはずである。今回の上限設定も、一応はギャンブル依存症への対策のつもりらしい。だが、ギャンブルを行う頻度として考えた場合、週に3回、月に10日というのはかなりの回数ではないだろうか。既に依存症の域に入っている人もいるはずである。

 今回の政府案では、1施設あたりのカジノ区域は1万5千平方メートル、IR全体の3%以下に制限されることになっている。大阪市内で17日に行われたIRをテーマにしたシンポジウムに出席した海外の大手IR運営事業者たちからは、カジノの規模などに関するこうした規制に対しては不満が出たが、日本在住者の出入り回数を制限することに対しては特に反対がなかった、との報道を目にした。

 事業者にとって、週に3回来てくれれば十分に利益が上がるということだろうか。また、回数制限をしながらも日本在住者の入場を認めることそのものが、事業者が政府に強く働きかけた結果なのだろうか。いかにも規制しているように見せかけて、なしくずしになって実効性を失っているように思えてならない。

 ところで、私がたとえばカジノに入場しようとする際には、本人確認のためにマイナンバーカードを活用する旨が今回の原案に盛り込まれているそうだ。これもどれほど厳格に運営されるものなのだろうか。

 私自身、パチンコ店にはこれまでに友人に連れられて2〜3回しか入ったことがない。そんな私でも、パチンコで勝っても直接お金をもらうことはできない決まりにはなっているけれど、パチンコ店でもらった景品を店のすぐ外にある交換所で現金に換えてもらえることぐらいは知っている。いわゆる「三店方式」という形である。

 射幸心をあおらないように気をつけている風をよそおって規制を作ってはいるけれど、きちんと抜け穴も用意しておく。そんな前例がこの国には長く息づいているのだ。ギャンブル依存症の問題は、本人も苦しい部分があるのだろうが、家族など周囲の人々への悪影響が大きい。

 日本で盛んに行われているギャンブルは各種あるが、それに加えて大きな波がいよいよやってくる。訪日観光客が増えて経済が活性化するというコインの裏側に、どれほどの問題が生まれるのだろうか。怖いもの見たさの賭けがついに始まってしまった。

 (近畿大学総合社会学部教授)