連載・特集

大阪ヒト元気録

障害プラスにできる国へ

ユニバーサルコンサル「ミライロ」社長
垣内 俊哉さん
2012年5月2日

車いす視点でアイデア形に

「仲間がいて、支援してくださる方に助けられた」と話す垣内さん

 ユニバーサルデザイン(UD)、バリアフリーに関連したコンサルティング事業などを手掛ける「ミライロ」。「身体の一部」という車いすでの視点をヒントに、さまざまなアイデアを形にしてきた創業者の垣内俊哉さん=大阪市淀川区=は、今春に大学を卒業した23歳だ。企業としてはまだ3期目。柔和な表情を見せながらも「障害をプラスに変えられる社会をつくりたい」とその奥には強い決意がにじむ。

■大学2年で起業

 「いま高齢者が2980万人、障害者は750万人。“移動弱者”が(人口の)3分の1を占めることになる」。そして「そこには必ず経済効果がある」。大学2年時に友人とともに起業。独自の視点からアイデアを生み出し、ビジネスコンペではこれまでに十数件の賞を得ている。

 UDを基本にした「バリアフリーマップ」の制作や、企業への接客研修も事業化した。例えば、目の見えない人に対して「3時の方向にお茶があります」と伝えることなどがそうで、ケースに合わせた対応を指導し「社会に存在しないコンテンツだが、スタンダードになれば」と浸透に期待を寄せる。

■体験ヒントに

 起業のヒントは自身の生い立ちにある。先天的に骨が弱く、折れやすい「骨形成不全症」という病があり、それは明治時代の先祖の代から遺伝的に続く。幼少期から入退院と手術を繰り返す毎日で「人生の5分の1は病院で過ごした」と振り返る。

 高校中退も経験した10代は人生に絶望したこともあった。しかし、出会いが人生の支えになった。応援し続けてくれた友人や看護師、先生、そして何よりも家族の支え。漠然と志していた起業の夢を実現させ「昔は歩くことが生きる目標だったが、今は従業員を食わせていくことに変わった」という。

 「“高齢化先進国”だからこそ“バリアフリー先進国”でなければ」と垣内さん。そのためにも、実業家として「お手本にされ、誇りにできるような国づくりを」と明るい笑顔で意欲を燃やしている。

 ○…中学では野球部に所属し、学生時代も車いすマラソンに参加したほど。上半身の筋肉は驚くほど鍛えられており、車いすバスケットボールでは25歳以下日本代表のトライアウトを受けるなど根っからのアスリートだ。企業や学校など全国各地で月に7、8件の講演をこなし、高い頻度で出張に出たりとフットワークも軽い。その原動力は何か。将来生まれてくる子どもに向けて「もっと遊び、学び、働ける環境をつくりたいんです」。