居場所をつくろう 共生の現場から

第3部 障害者(下) 「地域の中で」

2017年5月30日

住居選択に幅を

「ロイヤルグレイブ平野」にはショートステイの部屋もある。ワンルームでユニットバス付き

 大阪市は今年も市営福祉目的住宅の入居者を募集した(来月2日に公開抽選)。車いす常用者向けの設計で内装や整備を規定内で選択できる住宅もある。昨年の全体の倍率は2・7倍。市福祉局によると倍率は年々上がっているという。大阪府は公営住宅だけでなく、民間の賃貸住宅への入居を推進する体制整備を急いでいる。

■不動産+介護□

 地下鉄「平野駅」から徒歩10分程の7階建て「ロイヤルグレイブ平野」。一見一般的な賃貸マンションだが、障害者や高齢者専用とうたっている。オートロックの玄関からエレベーターで部屋に行くと、通常のキッチンやトイレ、風呂、そして24時間対応の緊急コールと可動式のベッドがある。

 1994年に不動産事業で会社を興したクローバーホーム(天王寺区)の高山寛社長(55)は2009年に介護関連の免許を取得。10年に平野区と淀川区の管理物件を改装し、高齢者と障害者の専用マンションとして運営を始めた。

 「体力勝負だが充実している」と笑顔を見せるのは、訪問介護員の政岡由純さん(61)。政岡さんが拠点にする「ロイヤル−」6階の訪問介護の事務所にはヘルパーが24時間常駐し、入居者の朝晩の安否確認や緊急コールにも対応している。

■サービス連携□

 1階にはデイサービスもある。昨年からは「地域共生型」のモデル事業として、高齢者、障害者、子ども向けの福祉サービスを一括して行い、入浴や機能訓練、レクリエーション、子ども食堂などを手掛ける。

 入居する高齢者の多くはこのデイサービスも利用しながら、自分のペースで自由に暮らす。「医療介護が必要になるなど他の施設や病院に移る人もいるが、ここをついのすみかにする人も多い」(斉藤勝己施設長)。

 しかし入居者のうち障害者は、このデイサービスを利用できない。「入居者以外の障害者ならいいという、よく分からない規制がある」と高山社長。「自立につながらない、というのが行政の言い分。他県では一定のルールのもとその規制が解除されている例もある。大阪でも早急な規制緩和を望む」と語気を強める。

■誰でも入居□

 府と「Osakaあんしん住まい推進協議会」は障害者らの入居を拒まない賃貸住宅とその仲介を行う協力店、入居を支援する団体や相談窓口などの情報を発信。サイトでは民間賃貸住宅、住宅供給公社、UR都市機構の賃貸住宅の一元的な検索ができる。

 今年3月には、「大阪あんぜん・あんしん賃貸住宅登録制度」を導入。07年から取り組む障害者らの民間賃貸住宅への円滑な入居をサポートする「大阪あんしん賃貸支援事業」の流れで、賃貸住宅経営者らに積極的な物件登録を要請している。

 「賃貸住宅には誰でも入居できなければいけない、というのが基本だが、まだ拒否感があるオーナーさんもいる」と府住宅まちづくり部都市居住課の担当者。多くの選択肢の中から満足のいく住空間を整えるためにも、「すべての物件が登録されるようになれば」と願う。共生社会の、基本の一歩である。

ミニクリップ

 「Osakaあんしん住まい推進協議会」 不動産関係団体や民間賃貸住宅の賃貸人、UR都市機構や住宅供給公社など公的賃貸住宅事業者、大阪府、府内市町村などが正会員となり2015年3月に設立。住宅の確保に困難を感じている人らが安心して暮らせる環境づくりを図る。